毎年かかる車の維持費を計算するためには、税金も含めて考える必要があります。税金の額はどの車を購入するかによっても変わってきます。エコカー減税の対象車であれば割引されるので維持費の節約につながります。
この記事では、エコカー減税とは何か、その対象車や具体的な減税内容について詳しく解説していきます。
車の維持費と減税
車を所有し乗り続けるためには、購入前に維持費についても検討しておくことが必要です。選ぶ車によっては、購入時だけでなくその後の維持費においても税金の減税が適用される場合があります。
まずは、車の維持費として必須の税金をおさらいしていきましょう。
自動車税(軽自動車税)とは、毎年4月1日時点での車の所有者に請求される税金のことで、支払うことが義務となっています。自動車税は都道府県民税、軽自動車税は市区町村税です。
軽自動車は総排気量に関わらず同じ税額ですが、普通自動車は総排気量によって変わるため注意が必要です。排気量については、車検証で確認できます。
なお、2019年10月に自動車税は税額が改定となりました。これにより、2019年9月以前と2019年10月以降に購入した車とでは金額が異なっています。
また、新車登録してからガソリン車・LPガス車では13年が経過、ディーゼル車では11年が経過してしまうと、自動車税なら約15%、軽自動車税なら約20%税率が上がります。節目が近い場合には気をつけましょう。
自動車税(軽自動車税)の自家用車の税額は以下の通りです。
※営業用の車は税額が異なるため注意しましょう。
一律10,800円(改定による金額の変更なし)
1000cc以下 | 改定前25,900円 | 改定後25,000円 |
---|---|---|
1000cc超~1500cc以下 | 改定前34,500円 | 改定後30,500円 |
1500cc超~2000cc以下 | 改定前39,500円 | 改定後36,000円 |
2000cc超~2500cc以下 | 改定前45,000円 | 改定後43,500円 |
2500cc超~3000cc以下 | 改定前51,000円 | 改定後50,000円 |
3000cc超~3500cc以下 | 改定前58,000円 | 改定後57,000円 |
3500cc超~4000cc以下 | 改定前66,500円 | 改定後65,500円 |
4000cc超~4500cc以下 | 改定前76,500円 | 改定後75,500円 |
4500cc超~6000cc以下 | 改定前88,000円 | 改定後87,000円 |
6000cc超 | 改定前111,000円 | 改定後110,000円 |
自動車重量税は、車検証に記載されている車両重量に応じて額が定められている税金です。ただし、普通自動車は0.5トンの重量が増えるごとに額が変わりますが、軽自動車は重量に関係なく一定の金額となります。
新車でも中古車でも、車を購入した際に支払っているでしょう。その後は車検を受けるごとに、次の車検証の有効期限までの分をまとめて支払うことになります。
自動車重量税は、エコカーとして認められた車であれば減税されますが、エコカー以外の車は新規登録からの経過年数によっては増税となりますので注意が必要です。
車検期間2年の場合、エコカーの自動車重量税の額は以下の通りです。
一律5,000円
0.5t以下 | 5,000円 |
---|---|
0.6~1t | 10,000円 |
1.1~1.5t | 15,000円 |
1.6~2t | 20,000円 |
2.1~2.5t | 25,000円 |
2.6~3t | 30,000円 |
エコカーは本則税率が適用され、経過年数での金額の変更はありません。
なお、エコカー=エコカー減税の対象となる車のことです。対象車については後ほど詳しく説明します。
車検期間2年の場合、エコカーではない車の自動車重量税の額は以下の通りです。
12年まで | 6,600円 |
---|---|
13年~ | 8,200円 |
18年~ | 8,800円 |
0.5t以下 | 12年まで8,200円 | 13年~11,400円 | 18年~12,600円 |
---|---|---|---|
0.6~1t | 12年まで16,400円 | 13年~22,800円 | 18年~25,200円 |
1.1~1.5t | 12年まで24,600円 | 13年~34,200円 | 18年~37,800円 |
1.6~2t | 12年まで32,800円 | 13年~45,600円 | 18年~50,400円 |
2.1~2.5t | 12年まで41,000円 | 13年~57,000円 | 18年~63,000円 |
2.6~3t | 12年まで49,200円 | 13年~68,400円 | 18年~75,600円 |
エコカーよりも高く設定されているだけでなく、経過年数により金額の変動があります。
自動車重量税のエコカー減税
自動車重量税の場合、国土交通省が認めるエコカーであれば、エコカー減税が適用されます。
それでは、エコカー減税とはそもそも何なのでしょう?エコカー減税の具体的な内容と対象となりうる車について説明していきます。
①電気自動車
②燃料電池自動車
③天然ガス自動車(平成30年排出ガス規制適合)
④プラグインハイブリッド自動車
⑤クリーンディーゼル乗用車
⑥ガソリン車・LPG車・ハイブリッド車(平成30年排出ガス規制50%低減)
該当する車であっても、本当にエコカー減税の対象であるかは購入時に確認しておくと安心です。
エコカー減税での減税内容は、新車登録を行ったのが2021年4月30日以前かそれより後か、また車の燃費や排ガス性能がどれくらいかによって異なります。
車の維持費が大いに節約となるのは、性能の高さにより初回継続検査(車検)の自動車重量税も減免される場合です。
しかし、もともとエコカーはそれ以外の車よりも税額が低く設定されています。車検時に免税にならなかったとしても、ある程度の節約にはなっているでしょう。
2019年5月1日~2021年4月30日までの間に車を新規に登録した場合、エコカー減税の内容と適用される車は以下の通りです。
- 電気自動車
- 燃料電池自動車
- プラグインハイブリッド自動車
- 天然ガス自動車:平成30年排出ガス規制適合
- クリーンディーゼル車
- ガソリン車/LPG車/ハイブリッド車
令和2年度燃費基準+90%達成
- ガソリン車/LPG車/ハイブリッド車
令和2年度燃費基準+40%達成
- ガソリン車/LPG車/ハイブリッド車
令和2年度燃費基準+20%達成
- ガソリン車/LPG車/ハイブリッド車
令和2年度燃費基準達成
なお、平成30年は2018年、令和2年は2020年です。
2021年5月1日~2023年4月30日に車を新規に登録した場合、エコカー減税の内容と適用される車は以下の通りです。
※クリーンディーゼル車の場合は、改正のため新規登録が2022年5月1日以降での減税内容となります。
- 電気自動車
- 燃料電池自動車
- プラグインハイブリッド自動車
- 天然ガス自動車
平成30年排出ガス規制適合 - クリーンディーゼル車
令和2年度燃費基準達成
令和12年度燃費基準120%以上達成 - ガソリン車/LPG車/ハイブリッド車
令和2年度燃費基準達成
平成30年排出ガス規制50%低減
令和12年度燃費基準120%以上達成
- クリーンディーゼル車
令和2年度燃費基準達成、令和12年度燃費基準達成 - ガソリン車/LPG車/ハイブリッド車
令和2年度燃費基準達成
平成30年排出ガス規制50%低減
令和12年度燃費基準達成か90%以上達成
- ガソリン/LPG/ハイブリッド車
令和2年度燃費基準達成
平成30年排出ガス規制50%低減
令和12年度燃費基準75%以上達成
-
- ガソリン/LPG/ハイブリッド車
令和2年度燃費基準達成
平成30年排出ガス規制50%低減
令和12年度燃費基準60%以上達成
- ガソリン/LPG/ハイブリッド車
なお、平成30年は2018年、令和2年は2020年、令和12年は2030年です。
EV、FCV、PHVの違いとメリット・デメリット
エコカー減税の対象となるのは、電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車ですが、名前だけでは具体的に何が違うのか想像しにくいかもしれません。
それぞれの車が何を動力として走るのか、またメリットとデメリットを紹介していきます。
電気自動車は、英語で「Electric Vehicle」なので、略してEVと呼ばれることもあります。
搭載されたバッテリーを充電スタンドや自宅で充電しておき、モーターを動力として走行する車です。エンジンがないため、二酸化炭素を排出することなく走行できることから、エコカーとして優れていると言えるでしょう。
メリットとしては、騒音や振動が少なく静かである点が挙げられます。また、時と場合にもよりますが、夜間に充電することでガソリン車よりもコストを低くすることができます。
しかし、バッテリー切れのリスクという点はデメリットです。電気自動車の走行距離は400kmほどなので、旅行など長距離を運転する場合には、バッテリーの残量だけでなく充電スタンドが道中や目的地付近にあるのか事前に確認しておくことが必要となります。
さらに、夏は冷房、冬は暖房で電気が消費されるため、買い物など近場であってもバッテリー残量には注意しておかなければなりません。
燃料電池自動車は、英語で「Fuel Cell Vehicle」なので、略してFCVと呼ばれることもあります。
水素と酸素の化学反応により発電し、その電力をモーターに送り、車を駆動させます。電気自動車と同様エンジンを使用しないので、二酸化炭素を排出しないという点で優れたエコカーと言えます。
メリットとしては、走行距離が650km~750kmほどあり、電気自動車よりも長く走れることです。また、ガソリン車と比較して振動や騒音が少ないのも魅力でしょう。
デメリットとしては、車の価格がガソリン車に比べて約2~3倍高いことです。さらに、水素ステーションが全国的に少ないこともあります。近くに設備がなければ、購入は難しいかもしれません。
プラグインハイブリッド自動車は、英語の「Plug-in Hybrid Vehicle」を略してPHV、PHEVとも呼ばれます。ハイブリッド車(HV)の中でも外部充電が可能な車のことです。
メリットは、電力がバッテリーに残っていればモーターで駆動する電気自動車として、電力がなくなればガソリンエンジンを使用するHVとして走行が可能なことが挙げられます。そのため、長距離を運転する際のバッテリー切れの心配も少ないです。
デメリットは、電気、ガソリンどちらを使用しても走れるようになっているため、どうしてもガソリン車より価格が高くなってしまうことです。
また、近距離だと電気のみで走ってしまい、ガソリンが劣化してしまうことがあります。なお、半年ほどでガソリンは劣化すると言われています。
エコカー減税の対象を判断する基準
エコカー減税の対象になるか判断するための基準がいくつかありますが、名称だけ見ても実際にどのようなものなのか分かりにくいかもしれません。
それぞれの基準の内容について、大まかに説明していきます。
令和2年(2020年)度燃費基準とは、2020年度までに達成する必要のある燃費の目標基準で、1台あたり20.3km/ℓ(JC08モード値)と定められています。
対象はガソリン、軽油、LPガスを燃料とする車です。
JC08モードで燃費の試験が行われます。JC08モードとは、1ℓの燃料で何km走行できるかについて複数の自動車の走行パターンから測定する方法で、日本独自の基準です。
なお、令和2年度燃費基準はガソリン車では、平成27年度燃費基準平均値に対して向上率が19.6%となっています。
令和12年(2030年)度燃費基準とは、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律施行令の一部を改正する政令」を基に、2030年度までに達成することが必要な燃費の目標基準です。1台あたり25.4km/ℓ(WLTCモード値)と定められています。
対象はガソリン自動車、ディーゼル自動車、LPG自動車、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車です。WLTCモードで燃費の試験が行われます。
より実際の走行に近づけた測定を行うため、JC08モードからWLTCモードに変更されました。
WLTCモードとは、世界統一試験サイクルとも呼ばれ、「World wide-harmonized Light vehicles Test Cycle」の略です。市街地モード、郊外モード・高速道路モードごとの平均的使用時間の配分で構成されている、国際的な基準を日本の事情に合わせて変更したモードです。
電気自動車やプラグインハイブリッド車は、「Well-to-Wheel」で評価します。これは、タンクの中のガソリン等の消費に加え、ガソリン等が車に供給される前の製造過程での消費も含めて評価するということです。
なお、令和12年度燃費基準は2016年度燃費基準実績値(WLTCモード換算)からの向上率は32.4%となっています。
平成30年排出ガス規制とは、国土交通省が自動車の排出ガス低減性能を認定する際の基となる基準です。WLTCモードで試験が行われます。
平成30年排出ガス規制に対しての一酸化炭素(CO)、非メタン炭化水素(NMHC)、窒素酸化物(NOx)の低減率(50%、70%)によってランク付けがなされます。
目標基準値は、車の乗車定員、車の総重量などによって変わります。