車の査定についての疑問

車の買取り査定で証明書を受け取る方法とは?査定証明書の必要性や種類も知っておこう

中古車買取業者が行う査定では査定額が提示されますが、査定証明書などの書類は渡されないことが多いです。どのような査定で査定額が算出されたのか、その場で説明はあっても後で思い返すとよく分からないという方もいるでしょう。

査定内容を記載した証明書は、費用はかかりますが専門機関で発行してもらえます。

この記事では、査定証明書の種類や発行手続きの仕方などを詳しく紹介していきます。

車買取り査定の種類

車の買取り査定は、一般的に買取業者に依頼して実際に車を見てもらい、査定額を算出してもらいます。

その他の方法としては、専門機関などに依頼して車の価値を調べてもらい、査定証明書を発行してもらうこともできます。

買取業者の査定では、査定証明書は発行されないため、必要な場合は専門機関に依頼することになります。

一般的な査定では正式な証明書は発行してもらえない

一般的な査定では正式な証明書は発行してもらえない
買取業者に車の査定を依頼すれば、最終的な売価となる査定額を提示してもらえます。ただし、査定証明書は発行されません。

買取業者がどのように査定額を算出したかは、いわば企業秘密となります。査定証明書では査定内容が全て提示されるので、自社の手の内を明かすことになるからです。

また、査定額の算出方法を提示してしまうと、お客さんが他の業者の査定結果と比較しやすくなります。査定内容が他の業者に流出する可能性もあるでしょう。

また、査定証明書を発行することになれば、買取業者側にも手間がかかります。自社の査定を有利に進めるために、査定証明書の発行を依頼されても渋る業者が多いです。

見積書を渡す買取業者もある

買取業者で査定を受けると、見積書と呼ばれる書類を渡される場合があります。

見積書とは、実車査定を行った結果、査定額がいくらになったかが記載してある書類です。

見積書には車のメーカーや車種、グレードやボディカラー、車台番号、査定時の車の走行距離なども記載されています。ただし、よく見るとこれらの項目は、車検証に記載されている車の基本情報ばかりです。

細かな査定の内容は外部には明かせないため、見積書を受け取ったとしても、依頼する側が知るのは難しいと言えるでしょう。

詳しい査定書を提示してもらえる場合もある

車の査定時に査定員を見ていると、業者独自の査定書というチェックシートに査定結果を記載していることがほとんどです。査定が終わると、査定員から車の状態や査定額などの説明を受けます。

しかし、中には査定額を口頭のみで伝えて、他社には言わないように口止めしてくる業者もいます。

査定で依頼主が一番知りたいのは、あくまでも自分の車がいくらで売れるのかということでしょう。そのため、細かな査定内容を一つずつ説明したり、書類で提示したりしなくても良いと考えている買取業者が少なくありません。

査定員が記載している査定書の内容が気になるという方もいるでしょう。買取業者が査定書を見せてはいけないというルールはないので、要求すれば見せてくれる業者もいます。

車の査定はほぼ無料でできる

一般的な車の買取り査定は、無料でできる場合がほとんどです。買取業者でも、ホームページ上で「査定だけなら費用は一切かからない」と明記しているところがあります。

気を付けたいのが、出張査定として遠方から業者に来てもらうケースです。交通費や出張費という名目で費用が請求される場合があります。

しかし、ほとんどの場合は売買が成立すればそのような費用は無料となります。

また、車検切れの車や故障によりエンジンが動かない不動車の場合も注意しましょう。出張査定だけならいいのですが、その後買い取りが決まるとレッカーなどを手配しなければならず、輸送費がかかることがあります。

専門機関に依頼すれば査定の正式な証明書が発行される

専門機関に依頼すれば査定の正式な証明書が発行される
専門機関に車の査定を依頼すると、有料ですが「各種査定証明書」を発行してもらえます。

この専門機関とは、一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)という機関です。

日本自動車査定協会は、国土交通省など国の機関から許可を得て設立された第三者機関です。国から監督・指導を受けて査定を行っているので、発行される査定証明書は一般的に信用度が高いものとして扱われています。

査定証明書が必要なケースとは?

査定証明書が必要なケースとは?
日本自動車査定協会が発行する査定証明書は、どのような場合に必要となるのか知っておきましょう。

まず、車が資産としてどの位の価値があるか調べなければならない時に必要です。個人に車を売買する場合や、車を相続する場合などが当てはまります。

また、買取業者に査定依頼をする前に査定証明書を手に入れれば、提示される査定額が妥当かどうか、判断材料として活用することができます。

その他にも、交通事故などで車が破損してしまった場合は、プロの査定士に車を見てもらったほうが有効なときもあります。破損、修理歴があれば車の価値は下がりますが、現時点でどれくらいの査定額になるのかを前もって知っておきたい時に査定証明書を発行してもらうと良いでしょう。

ここからは、査定証明書が必要なケースについて詳しく説明していきます。

個人に車を売却する時

車を売却する際、買取業者やディーラーの下取りを利用する方が多いです。しかし、ネットのオークションやフリマアプリなどを利用して個人間で売買する方も増えています。

業者を通さない分高く売れることもあるなどの魅力もある一方で、売却額が適正なのか個人で判断するのが難しいなどの一面もあるため、トラブルに発展する可能性も否定できません。

そこで、専門機関が査定して車の価値を算出した査定証明書があると、買い手にも信用されやすくなります。

査定証明書を踏まえて設定された売却額なら、買い手もその金額を受け入れやすいでしょう。

車の資産評価が必要な時

所有車は資産に当てはまります。資産価値を証明しなければならない場合、専門機関の査定が必要となるでしょう。

例えば、企業の場合は社用車も資産の一部です。企業の合併や解散があって資産を整理しなければならない場合に、車の資産評価が必要です。

他にも、企業に債務があり車を売却して返済に充てるケースで査定証明書が必要になります。車の正式な資産評定がないと、売却価格が決められないためです。

車を相続する時

所有者が亡くなり車が残された場合は、故人の資産の一部として車も相続の対象となります。車も財産的な価値があるので、いくらになるのかを査定しなければなりません。

相続する車の価値を算出するための調査が必要になったら、専門機関に依頼して正式な査定証明書を発行してもらいます。

車の財産的価値が100万円以下の場合は、「遺産分割協議成立申立書」という書類を提出すると名義変更を行えるので、相続手続きが通常より簡単に行えます。

この「遺産分割協議申立書」を提出する場合にも、日本自動車査定協会が発行する査定証明書を添付しなければなりません。

個人から車を購入する時

車の専門業者ではなく個人から中古車を購入したい場合も、専門機関が発行する査定証明書があれば、車の状態や修復歴の有無などがきちんと分かるので安心です。

売り手の説明だけでは、買い手が車に詳しくないと本当にその通りなのか判断が難しいでしょう。

「自分の車をよく見せたい」「少しでも高く売りたい」という売り手の思惑で、実際の車の価値よりも高値で買い取られるような場合もあります。

そこで、正式な査定証明書があれば、詳しく車両を調べて算出された価値がはっきりと分かるので、提示価格を信用することができます。

車の所有者に依頼して査定証明書を発行してもらうと、個人間の売買も安心して行えるでしょう。

買取店の評価が適正か判断したい時

車の買取業者は、安く仕入れた車に利益を上乗せしてやや高く売ります。そうしないと、会社として利益を得ることができません。

車を売る側は、買取業者から提示された査定額が適正なのか、安く買い叩かれていないか判断するのは難しいものです。そんな時に専門機関で査定してもらうことで、買取業者が提示した査定額が適正なのかを知る目安にできます。

専門機関における査定は、中古車買取業者と違って車の売買を行って利益を得ることを目的としていません。公平な立場できちんと車の状態を調べ、資産価値を評価してくれるので信用できます。

交通事故で車を破損、修理した時

交通事故で車を破損した場合、きれいに修理したとしても事故がなかった車と価値が同じというわけにはいきません。どうしても査定額が下がってしまう可能性が高いです。

交通事故による車の損害は、自動車保険に加入していれば限度はありますが補償してもらえます。中でも、停車中の追突事故など事故の相手方にほぼ過失がある場合は、相手が加入している自動車保険から補償を受けることが可能です。

中古車としての査定額が事故により下がってしまった場合、損失を査定証明書によって証明できれば、相手の保険会社にその分の補償を請求できる場合もあります。

査定証明書の種類

査定証明書の種類
査定証明書には、いくつか種類があります。

車の外装や内装、エンジンルームなどの傷やへこみ、修復歴などを調べてまとめたのが「車両状態確認書」です。

さらに、事故による破損や修理で、車の価値がどの程度下がったかをまとめたものが「事故減価証明書」です。

他にも中古車としての価値がいくらかを算出した「推定価格証明書」や、車の輸出入関連の証明書などもあります。

ここからは、査定証明書の種類別にその内容を詳しく説明していきます。

車両状態確認書

「車両状態確認書」とは、車の外装や内装、機能の状態や走行距離などを調べ、結果をまとめた書類です。交通事故による修復歴の有無や修理状態なども確認できます。

修復歴とは、車の走行性能にかかわるフレームが破損し、修理されている状態を指します。例えば、ドアが破損して交換するなど、フレームに関係ない箇所の修理は修復歴には含まれません。

修復歴があると、車の査定額が大きく下がる場合が多いです。プロの整備士が査定しているので、通常では見つけるのが難しい箇所の劣化や消耗、修復歴なども発見できる可能性が高いとされています。

事故減価証明書

「事故減価証明書」は、交通事故により車両が破損した場合、修理後に中古車として売却するならいくら位価格が下がるのかを証明してくれる書類です。

ただし、単に事故で車が破損し修理をしても修復歴ありとならなければ、基本的に発行してもらえません。発行対象が修復歴ありの車に限るので、注意しましょう。

通常、交通事故による損害は双方の過失の割合によって賠償額が違ってきます。自分の車の破損が激しく修復歴ありとなってしまうと、中古車としての価値が下がります。

特に相手に過失が大きい場合、中古車として評価損分まで補償してもらえるかは分からず、自分が損することになるでしょう。

そんな時、事故減価証明書を発行してもらえば相手の保険会社に評価損額まで請求できる可能性が高くなります。

ただし、満額を支払ってもらえるかどうかは保険会社次第になるので、交渉することが大事です。

推定価格証明書

「推定価格証明書」は、中古車としていくらの値段になるか車の状態から予想し、算出された価格が記載してある書類です。車が現存すれば実車査定を行い、価格を決めます。

推定価格証明書の特徴として挙げられるのが、現車確認できない場合でも発行してもらえるという点です。

さらに、「数年前のこの時点での車の価格が知りたい」といった過去に遡って推定価格が必要となった場合でも、価格を算出してもらえます。

輸出入関連の証明書

車の輸出入に関係した書類も、日本自動車査定協会から発行される査定証明書の一つです。

なお、2005年以降から輸出(船積み予定)する中古車に関しては、輸出抹消登録が必要となります。(大型特殊自動車と被牽引車を除く)

輸出入に関連する証明書で日本自動車査定協会が発行するものは、「輸出中古自動車検査済証明書」です。中古輸出車の各部位を検査した結果、その品質を証明する書類です。

他にも、中古車販売者が免税を受けるために必要な「商品中古自動車確認証明書」などもあります。

主に中古車販売や輸出入を行う業者に関係した証明書ですが、参考までに知っておくと良いでしょう。

メーカーが発行する車両検査証明書もある

メーカーが発行する車両検査証明書もある
自動車メーカーでは、自社の認定検査員により綿密な車両状態のチェックを行い、車の状態を記した「車両検査証明書」を発行しているところもあります。これは主に自社の中古車を販売する際に、車の品質を保証する目的で用意されるものです。

査定などの車の状態を図で示し、部位ごとに点数をつけて評価しているので素人でも分かりやすい内容になっています。

年式、走行距離、ボディの傷やへこみ、修復歴の有無などを程度によってランク分けされる形です。

新車登録から1年未満、走行距離1万キロ未満のほぼ新車と同じ状態である最高のSランクから、修復歴はあるが走行に支障はないRランクまでの11段階で評価されています。

外装や内装に関しても、同じように傷やへこみなどの程度や大きさ、傷みや汚れの程度に応じて5段階で評価されます。

また、車を展開図で表示し、傷やへこみ、補修の跡などが記入されているため一目で車の状態が分かるのが特徴です。

査定証明書を発行するのに必要なもの

査定証明書を発行するのに必要なもの
日本自動車査定協会に査定を依頼し、証明書を発行してもらうのに必要なものを知っておきましょう。

まずは当然ですが、査定してもらう車を持ち込む必要があります。エンジンをかけて車の各部位に異常がないかなどもチェックしなければならないので、車のカギも預けます。

他にも車検証や自賠責保険証明書、車の取扱説明書も必要です。車検証などは、車のコンソールボックスなどの収納ボックスにファイルに入れてまとめて保管してある場合が多いです。紛失していないか確認しておきましょう。

査定には費用がかかるので、いくらかかるかを調べて用意します。

また、法定点検や車検、オイル交換などのメンテナンスが記載されたメンテナンスノートと呼ばれる点検整備記録簿も準備しておいてください。

査定証明書の発行の流れ

車の査定証明書を発行してもらうまでの手順を見ていきましょう。

1.査定の予約

査定をしてもらいたい場合、直接専門機関に出向いても、買取業者の店舗査定のようにすぐに対応してもらえるわけではありません。また、出張査定のみに対応していて持込不可となる時期もあります。

事前に予約しておかなければならないので、気を付けましょう。電話で予約する際は、希望の査定場所や日時を伝えて査定員と相談し、調整します。

2.査定に必要なものを準備

査定場所と日時が決まったら、その日までに車検証などの査定に必要なものがどこにあるかを確認しておきましょう。紛失していれば、早めに手続きして再発行しておく必要があります。

3.査定

日本自動車査定協会における査定の所要時間は30分程度です。車の外装の傷やへこみなどを確認し、内装の汚れや臭い、シートの破損などを見ていきます。さらに、エンジンルーム内の部品の劣化、消耗具合や機能性、足まわりの状態などを順番にチェックします。

修復歴の可能性があったり改造している車だったりした場合は、査定時間が30分以上かかる可能性があるので時間に余裕をもっておきましょう。

査定証明書を発行するのにかかる費用

査定証明書を発行するのにかかる費用
査定証明書の発行には費用がかかり、車種によって金額が異なります。

ナンバープレートの分類番号が4~7の軽自動車や小型自動車は7,150円です。

ナンバープレートの分類番号が1~3の普通自動車は9,900円です。

ナンバープレートの分類番号が1と2の普通貨物車は15,400円です。

車両が大きくなるとその分費用が高くなります。他にも、出張査定の場合は出張費や駐車料金、高速料金などを含む諸経費が別途必要です。

まとめ

①買取業者による無料査定では査定証明書は発行されませんが、査定額が記載された見積書がもらえる場合がある
②専門機関に査定依頼すると有料ですが、正式な査定証明書が発行してもらえる
③査定証明書は、個人間での車の売買や相続、買取店での査定額が適正かを判断したい時に発行してもらうと役立つ
④査定証明書の種類には、車両状態確認書や事故減価証明書などがある
⑤査定証明書の発行にかかる費用は、車種によって異なるので注意しよう
※本記事は公開時点の情報のため最新と異なる場合があります。
カータル編集部
カータル編集部
この記事は中古車の売却、査定などについての知識が豊富な私たちが執筆しています。車を少しでも高く売るコツや必要な書類、手続きに関する疑問や質問にお答えしています。

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