ETC車載器を搭載している車を見ることが多くなりました。
自分が所有している車はもちろん、レンタカーを利用する時も標準で装備されているのを見かけたことがある方もいるでしょう。
ETCを搭載していると、有料道路を走行する時には料金を現金で支払うことも必要なく、スムーズな走行が可能になります。
しかし、車を売却する時にETC車載器を取り外すべきか、疑問に思っている方もいるかもしれません。ETC車載器が査定額に影響するのかは、気になるところです。
今回は、車を売却する時にETC車載器を「取り外す」「つけたままにする」のどちらが良いかについて、紹介します。
ETCマイレージといったETCのシステムについても、詳しく解説していきます。
ETCの有無によって査定額の差は少ない
車を売却する時にETCは査定額に影響するのでしょうか?
国土交通省が調査した結果によると、2021年のETC利用状況は9割に達していると報告があります。それほど、ETCが車に普及していることが読み取れます。
実際使用してみると、インターチェンジでの出入りや精算に時間を取られることなくスムーズに走行できることはメリットです。そのため、ETCが出始めた頃と比較すると、標準装備のような感覚になっていると考えられます。
次からは、ETC車載器の有無による査定額の関係がどのようになっているかを詳しく解説していきます。
先程もお伝えした通りETC自体が装備されている車が多いため、査定額についても若干高くなる傾向はありますが、大差はない状態です。
もちろん最新型の車載器であれば査定も高くなりますが、それでも数千円程度プラスされるかどうかです。
しかし、買取業者としては、再販売する時に売り出す項目として、ETC車載器を搭載していることはアピールポイントになります。車買取業者によっては、高価買取で査定額を出す可能性もあると言えます。
そのため、ETCが搭載されている場合とそうでない場合について顕著に査定額に差が生まれる状態ではないので、取り外す時にはよく考えて行うことが重要です。
ETCをつけたまま査定を依頼して、そのぶん査定額が高くなったとしても、次の車でETC車載器を購入して取り付けることもあります。
査定額で上乗せしてもらったとしても、トータルで考えるとどうなのか知っておく必要があります。そのため、かかる費用から考えてみるのも方法としてあります。
ETC車載器は本体の購入だけではなく、取り外しや取り付けも専門業者に依頼することが必要です。
もしETC車載器が古い形式で新しく乗り換える車の規格に合わない状態であれば、無理に外すことはデメリットになります。取り外しにも費用がかかってしまうからです。
最新型のETC車載器を購入し取り付ければ、取り外す工賃がかからなくて済みます。その分、購入費に充てることも可能です。
それほど大差がない状態であれば、つけたままで売却するのが得策の時もあります。
取り外し費用や再購入の費用も踏まえて査定に出すことが大切です。
車の売却時にETCを取り外す時の注意点は4つ
車を売却する時にETCを取り外すことになった場合、どのような点に気をつければ良いのでしょう。
取り外しに関しては、カー用品店などの専門業者に依頼することが賢明です。自分で行うと、配線を切ってしまったりデータの処理は依頼しなければならなかったりなど、専門的な要素が多くあります。
次からは、気をつけるべき4つの注意点について詳しく解説していきます。
1つ目の注意点として、次の車にETC車載器が搭載されているかどうかです。もし搭載されているのであれば、それを利用することで費用を抑えることができます。
外したETC車載器を新しい車に取り付けるには、再度セットアップや取り付ける時に費用がかかってしまいます。
また、車載器のセットアップに関しては、個人で行うことができず、カー用品店や販売店に依頼しなければなりません。
ちなみに、セットアップする時に必要となる書類は、「車検証」と「運転免許証」です。
必要書類は再セットアップする際も変わりませんが、その時は、必要書類に加えて「ケーブル」や「ETC車載器」を準備することを忘れないようにしましょう。
必要書類にはカー用品店や整備工場に用意してあるものを利用します。記入事項としては、「車載器登録番号」「形式登録番号」を記載する欄がありますので、番号を控えておくとスムーズな手続きを行うことができます。
2つ目の注意点として、外したETC車載器の売却価格がどのぐらいになるかです。
車載器によっても買取価格に幅があることは、知っておく必要があります。
ETC2.0対応になっていたり機能が多彩であったりすれば高価買取も行ってもらえますが、ETC2.0以前のものだと、それほど価格がつかない傾向にあります。その状況であれば、外すための費用をかけるより、そのまま車を売却した方が良いかもしれません。
実際、本体価格はETC車載器の性能にも異なりますが、通常であれば5,000円~10,000円程度で、ETC2.0だと15,000円~30,000円程で販売されています。
それに取付費用もかかりますので、合計15,000円~40,000円程は見積もっておきましょう。
車の売却する査定額にもよりますが、新品の車載器よりも査定額が低い傾向はありますので、買取業者の査定額と車載器の売却金額を加味して考えていくのが得策です。
3つ目の注意点が、ETC車載器の付け替えは業者に依頼するということです。
自分でも行うことは可能ですが、複雑な作業もあり、配線を切ってしまうと使用できなくなる可能性もあるので、専門業者に行ってもらうことで安心できます。
しかし、取り外しや取り付けにはある程度費用がかかってしまいます。その点を考慮に入れて付け替えは実施する必要があります。
4つ目の注意点として、個人情報についてです。
車載器には車両番号を登録したりすることが必要になりますが、個人情報は残りません。実際に使っている方は、ETCのカードを挿入して利用することになります。
例えば、レンタカーにもETC車載器が装備されている時も個人のカードで運転できますが、そちらの情報は車載器に残ることはありません。
つまり、氏名、住所、クレジット番号等は残ることがないことを知っておきましょう。
ETCマイレージに登録している方は、ETCを付け替えた場合には、車両番号を変更する必要があります。
また、新しくETC車載器をつけた場合は、さらに車載器管理番号の変更も必要です。もし登録を変更しないと、それまでに貯めたポイントが失効されることもあります。
手続きはインターネットで変更可能ですので、忘れずに行いましょう。
ETCマイレージはどんなサービス?5つの知っておくべきこと
「ETCマイレージ」という言葉を聞いたことがあるという方も多いでしょう。
ETCマイレージは登録料無料で、インターネット又は書面を郵送する方法で簡単に申し込むことができます。
しかし、ETCを搭載して自動的にマイレージサービスが使えるわけではなく、個人の申し込みが必要になります。ETCを使用していても登録までしていない方が多いかもしれません。
次からは、ETCマイレージサービスの知っておくべき5つのことについて詳しく解説していきます。
高速道路を走行する時にETCを利用した場合、金額に応じてポイントが貯まります。
ポイントの付き方は高速道路の道路事業者によっても異なります。
例えば、通行料金に応じて10円につき1ポイントで5,000円から10,000円までは100円につき3ポイント加算するような設定です。
ポイントが一定量を超えるとを還元してもらえるので、高速道路を頻繁に利用する方にはメリットが大きいです。
交換ポイントも還元率が各道路事業者によっても異なります。具体的には、100ポイントで100円、1000ポイントで500円、3000ポイントで2,500円というように変化していますので、個々の事業者のHPを確認しておくと良いでしょう。
また、ポイントには有効期限があります。ポイントを付与した年度の翌年度末までとなっています。
例えば、今年の10月15日に付与したポイントは来年の10月末までが有効期限となります。したがって、期限が過ぎてしまうとポイントが失効してしまいますので注意が必要です。
ETCマイレージサービスはWebサイトや郵送で申し込みすることが可能です。さらに、サイトで申し込んでから即日で利用することができます。
そのため、高速道路を利用すると、申し込んだ日からすぐにマイレージの還付が受けられるので、事前に申し込むのがおすすめです。
申し込みは、ETCマイレージサービスのサイトで受付を行っています。
自動還元サービスとは、利用して貯まったマイレージを自動的に還元してくれるサービスです。
うっかり有効期限が切れてしまうリスクが減少するので、使い勝手が良くなるでしょう。何ポイントで還元されるかは、道路事業者によっても違いがあります。
具体例として、1,000ポイント貯まると1,000円分に自動還元する事業者が多数ですが、5,000ポイントで5,000円に還元する事業者もあります。
ETCマイレージサービスは、メールアドレスを登録すると、様々な情報を配信してもらえます。
配信内容として、システムメンテナンス情報・障害情報・ETCマイレージやその他のニュースなどです。それ以外にも、手続きの受付メールやポイントが還元された時に配信される自動還元お知らせメールがあります。
使っていると忘れがちなこともメールで伝えてくれるので、登録しておくと良いでしょう。
インターネットを利用しマイページにログインすると、利用明細も確認できます。
月別のマイレージポイントの増減や、還元額の利用状況も見ることが可能です。
どのくらいの還元額があるかを把握することで、有料道路を走行する費用がいくらになるか分かりやすくなります。
しかし、ETCを利用した走行履歴については表示されません。マイレージに関する利用明細だけになりますので、気をつけましょう。
ETC2.0とは?
ETCを利用している方は、「ETC2.0」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
国土交通省が2016年から導入しているもので、ETC2.0の機能は従来のETCに比べて多くのメリットがあるシステムです。
従来の料金収集システムに追加して、高速道路と車がタイムリーに情報を連携することが可能で、渋滞時の迂回ルートや安全運転のサポート、災害時の誘導等もできるサービスとなっています。
ここからは、ETC2.0におけるメリットを3点紹介します。
ETC2.0を利用していると一部の有料道路の割り引きがあります。
例えば、圏央道の通行料金が20%引きになります。
なぜ割り引きになるかというと、圏央道を環状道路として機能させるためです。
割引区間としては、圏央道の「茅ヶ崎JCT~海老名JCT」「海老名~木更津JCT」「新湘南バイパスの藤沢~茅ヶ崎JCT」となっています。
割り引きを受けるための条件としては、ETC2.0搭載車であること、ICでETC対応の入口から入って走行することです。つまり、通常のETCと同じように走行すれば、割引対象になります。
対象区間を走行する頻度が多ければ、コスト面で考えても利用価値は高いと言えます。
休日の高速道路を利用する時に、渋滞情報が気になるという方も多いかもしれません。
カーラジオをかけていると、道路交通情報が定期的に流れて知ることも多いでしょう。
ETC2.0を搭載していると、リアルタイムで渋滞情報を知ることが可能です。カーナビと連動させることで道路状況を広範囲に渡り把握することもできます。
そのため、渋滞している箇所を回避するルートを再検索することはメリットです。
国土交通省が理想としている、ETCを料金支払いだけでなく多種多様な道路情報を提供できることで、安定した走行形態を確立していきたい意図が汲み取られています。
従来の渋滞情報システムに比べて、ETC2.0のITSスポットは多くのデータを送信する形状になっているので、リアルタイムに渋滞情報を配信することができる状態です。
刻々と変化する道路情報を、常に新しい情報で提供できることは、運転する側から考えると利点と言えます。
運転している時は、安全走行が重要な要素です。それをサポートする機能が、ETC2.0には搭載されています。
事故多発地点の注意喚起をしてくれることは、運転していて役立つ機能です。
高速道路は一般道に比べて、スピードも出ている状態ですので、事故が起こると被害が大きくなる傾向があります。その点に注目しても、安全運転のサポート機能は大事です。
さらに、災害時には道路規制情報も受信することができます。高速道路の安全運転支援だけでなく、緊急時の対応にも使用できることは、何かあった時に重宝するシステムとして利用価値が高いとも言えます。
ETC車載器も2022年で使えなくなるものもある
現在使用しているETC車載器も使えなくなる機種も出てきます。
まず「2007年以前の技術基準適合証明・工事設計認証を受けているETC車載器」が使用できなくなります。
車載器管理番号が0から始めるものが対象です。
この車載器は2022年12月1日以降は使えなくなってしますので、注意が必要です。
また、2030年にも新しいセキュリティ規格を導入する見込みのため、さらに使えなくなるETC車載器が増加する見通しです。背景としては、2005年に世界無線通信会議が取り決めた、無線通信規制法によるものです。
車の乗り換えの際に、前の車から再セットアップすることもあると思います。しかし、今後使用できなくなるETC車載器を取り付けるよりは、今後主流になるETC2.0を新規購入してセットアップする方法もあることは知っておくと良いでしょう。
ETC2.0を利用しているユーザーは、これから増えていくことが予想されます。
メリットも多数あるシステムですので、これを機会に入れ替えることも検討材料に加えておくことは得策です。