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中古車を買うとき、質がいいからという理由でワンオーナー車を探す方は多く、人気があります。では、車を売るときはワンオーナー車だと買取り査定額が上がりやすいのでしょうか?
この記事では、なぜワンオーナー車に人気があるのか、車を売るときにワンオーナーだと証明できる書類についてや、それ以外で査定額アップを期待できるポイントを紹介します。
ワンオーナー車とは?
ワンオーナー車とは、その車の所有者がこれまでに1人だけで、初めて中古車市場に出た車のことを表す言葉です。
過去のオーナーが1人だけの車は、新車で購入し売却された車です。複数のオーナーの手に渡っていなければ、新車で購入し家族複数人で乗った場合もワンオーナーとみなします。
中古車は個人所有の車だけでなく、事業用車両やレンタカーで使われた車も含んでおり、その場合走行距離が一般の車より長くなりがちです。そのため、法人の事業で使った車は「法人ワンオーナー」と表記して区別する場合があります。
ワンオーナーだと査定額アップにつながる?
ワンオーナーというだけで査定額は上がらず、逆にワンオーナーでないために下がることもありません。
その理由は、中古車査定には基準があり、その中にワンオーナーの明記がないからです。査定基準にないため金額を左右する要素ではなく、ワンオーナーによる査定額のアップはあくまで業者の判断となります。
人気があるため、ぜひ在庫が欲しいと考える業者は、査定額を上げて買い取ろうとするでしょう。中古車の買取り査定は基準に基づいて行うものの、業者の独自判断を許すところがあり、そこでワンオーナーによるプラス査定を検討します。
同じ車を査定に出しても買取額が多少ばらつくのは、業者や査定士ごとの判断に違いがあるからです。
ワンオーナー車を売るときは、より高く買ってくれそうな業者はどこか、他のポイントも含めて選ぶといいでしょう。
中古車市場でワンオーナー車が人気の理由
ワンオーナーだけで大幅に買取額が上がることはないものの、業者は積極的にワンオーナー車を買い取る傾向があります。
ここからは、ワンオーナー車が人気の理由をひとつずつ解説していきます。
ワンオーナー車は、所有者がこれまでに1人だけの車となるので、カーディーラーの試乗車を除くと新車で購入したものばかりです。
新車は中古で購入した車に比べて大切に扱うオーナーが多く、きれいに乗っている傾向があります。それは、高いお金を払って購入した新車のほうが、安く手に入れた中古車より大切にしようという心理が働くからです。
必ずしも新車のオーナーが大切に扱っているとは限りませんが、きれいに乗られた可能性が高いため人気があります。
所有者が何回も変わった車は、新車のときにはあった「定期点検整備記録簿」が途中でなくなったり、メンテナンスを受けなくなったりして過去の情報が分からない場合もあります。
直前のオーナーがこまめにメンテナンスをしたとしても、それ以前のオーナーがどう扱っていたかは分かりません。
その点、ワンオーナーだと定期的にメンテナンスを受けて記録をつける場合が多く、どのように乗っていたかが分かりやすいです。
定期点検整備記録簿とは、12か月点検や24か月点検を行った内容を記録する用紙です。これが残っていると法定点検の記録を見られるため、メンテナンス状況や消耗品の交換時期の目安も分かります。
新車を購入すると3年~5年で買い替える方も多いため、ワンオーナー車は比較的年式の新しい状態で売りに出されることが多いです。
年式の新しい車は不具合が起こりにくく、長く乗り続けられるメリットがあります。そのため、安く購入してできるだけ長持ちさせたい方にワンオーナー車は喜ばれます。
新車から5年未満かつ走行距離が10万km未満の車は、メーカー特別保証期間になっており、保証継承の手続きを行えば引き続き保証を受けることが可能です。
新車購入時には車両やメンテナンスについての書類が多数揃っていますが、所有者が何度も変わるとその間に紛失しやすくなります。その点、ワンオーナー車は所有者が1人なので、必要書類がきちんと揃っている傾向にあります。
大切な書類があると、車両の証明や消耗品はいつごろ交換するかなどを判断でき、スムーズで適切な管理に役立ちます。
ワンオーナーを証明する方法
基本的にワンオーナーであることは、査定額に影響はないとされていますが、人気があるため買取額アップを期待できます。
ここからは、売りたい車が確かにワンオーナーであることを証明する書類を3つ紹介します。査定を受ける前に用意しておくといいでしょう。
車検証と新車保証書のどちらも同じ名義人になっていればワンオーナーであることが証明できます。これは、普通自動車に限らず軽自動車の場合も同じです。
引っ越しなどにより住所変更やナンバー変更をしても、名義人が同じ車検証と新車保証書を持っていればワンオーナーだと分かります。
車検証でワンオーナーかどうかはある程度判断できるものの、中古車業界では新車保証書がないとワンオーナーとは言わないため、新車保証書を忘れずに持っていってください。
加えて定期点検記録簿の名義人も同じだと、ワンオーナーである信用度は上がり、査定額が高くなる可能性があります。ただし、個人情報保護により現在より前の名義人は見られなくなったので、点検整備記録簿だけでは証明が難しいことを覚えておきましょう。
登録事項等証明書は、普通自動車の車検証に記載されている内容を確認できる書類です。申請書に車台番号などを記入し、1台当たり1,000円の手数料を支払うと陸運局の窓口で発行してもらえます。
証明を取りたい車の名義人の本人確認書類も必要なので、運転免許証や健康保険証などを持参しましょう。
陸運局のホームページから申請書のダウンロードが可能な地域もあるため、先に準備してから出かけるとスムーズです。
登記事項には「現在証明」と「詳細証明」があります。
現在証明は、現在の車検証の内容のみが記載されています。
詳細証明は、新規登録をしてから現在までの履歴が記載されているため、ワンオーナーを証明したい場合は詳細証明を発行してもらいましょう。
履歴が長いと書類1枚当たり追加料金がかかりますが、ワンオーナーの場合は追加料金がかかることはまずありません。
車台番号は車検証に載っているので、難しい手順を取る必要もなく、ワンオーナーを証明する書類が手に入ります。
ワンオーナー以外の査定ポイント
ワンオーナーは、業者によって買取額を左右しますが、車の査定基準をクリアするほど買取価格アップが期待できます。部分ごとの目安を参考に、状態をチェックしてみましょう。
そして、査定基準を定めるJAAIについても簡単に説明します。
JAAIとは、「一般財団法人日本自動車査定協会」の略称で、現在の経済産業省と国土交通省の指導のもと1966年に設立した組織です。
目的は中古車市場の健全な発展と消費者の利益保護、全国の新車中古車業界での適正な査定の普及と浸透です。
JAAIは全国に52か所の拠点があります。消費者が安心して中古車売買ができるよう中立と構成を大切にした第三者機関で、査定士の育成・査定制度の管理を行っています。
JAAIの仕事は、査定関連の業務と海外輸出用の中古車の検査業務がメインです。また、自動車販売店がもつ中古車についての確認照明業務や、あらゆる情報提供も行います。
査定制度の運営と管理をするため定期的に基準や細則を見直し、作成した変更案を査定士が正しく的確に行えるよう研究と確認を続けています。
車の外装では傷やへこみなどの損傷がないかを見ます。
傷やへこみがあると査定額は下がりやすく、骨格部分のパーツ交換や修復をした形跡があれば、交通事故歴があると判断され、さらに査定額が下がるでしょう。
新車に近い状態の外装であるほど査定額は高くなるため、可能であれば傷やへこみを修理して査定を受けましょう。しかし、修理費全額が査定額に反映されるとは限らないため、修理したほうが高く買い取ってもらえるかどうかを業者に確認してから行うことをおすすめします。
車内の内装も外装と同じく、新車に近い状態ほど高い査定額を期待できます。
査定士は座席シートやフロアマット、トランクルームなどが清潔で、タバコのヤニやペットの排泄のシミがない、破れていないかをチェックします。
車内のニオイも査定対象となるため、タバコやペットのニオイなどが染みついていると減額となるかもしれません。
カーオーディオ・カーナビ・ETC・ドライブレコーダーの有無も買取査定額に反映され、純正品の場合は買取額アップが期待できます。
エンジン回りは、車の性能に大きく関わる重要項目です。エンジン音・バッテリーの状態・エンジンオイルを定期的に交換したかなどを確かめます。
エンジン回りの改造は査定額アップとなる可能性がありますが、購入後に不具合の恐れもあるため減額対象になることもあります。
タイヤの査定は溝の深さをチェックし、5mm以上残っているとプラス査定の可能性が高く、1.6mmを下回るとマイナス査定になります。
加点は車種によって異なり、軽自動車よりもセダンなどのほうが大幅加点になる傾向があります。
タイヤの溝が1.6mm以上5mm未満の場合は、査定への影響はありません。
1.6mm未満しか溝がないタイヤはスリップサインが出ており、車検に通らない状態です。その車を売るにはタイヤ交換が必要になります。業者は費用を負担しなくてはならないため、査定額が下がります。
溝が5mmあるタイヤは新品同様です。新車かタイヤ交換したばかりの場合は、タイヤでのプラス査定を期待できます。
走行距離の短い車ほど買取査定額は上がる傾向にあります。目安は年間1万kmのペースを超えるかどうかです。
例えば、3年落ちの車は走行距離が3万km程度です。大幅に超えるとマイナス査定になりやすくなります。
目安どおりであっても走行距離が5万kmを超えると査定額は大きく下がるケースがあります。売りたいと思ったときは、走行距離が増える前に売ったほうがマイナス査定を避けられるかもしれません。
また、「走行距離から車の寿命が分かる」と言われています。そのため、10万kmを超えると金額がつかなくなることが多いです。需要の高い中古車は走行距離5万km未満のものです。長く大切に乗ってきた車でも走行距離を理由に値段がつかないことは考えられます。
メーカーオプションとは、新車納品前にメーカー工場でつけるオプションのことです。
納車後の取りつけができないため、プラス査定を期待できます。サンルーフ・バックモニター・レザーシートなどが人気のオプションです。
カーナビやエアロパーツがメーカーオプション装備の場合も、査定額アップを期待できます。
オプションはカーショップなどにある社外品をつける方もいますが、好みが分かれやすく、次の買い手の幅を狭めるため、マイナス査定となる傾向があります。
社外オプションをつけた場合は、外して査定を受ける方法もありますが、プロに取り外しを頼むと工賃が必要になるため、余計な費用がかかってしまいます。そのため、無理して外さずにそのまま査定を受けたほうが損が少ないケースもあります。
次の車検までの期間が長い車は業者側で車検に費用をかける必要がないため、買取価格は上がる傾向にあります。
しかし、買い取ってもらう前にわざわざ車検を受ける必要はありません。車検の費用以上に査定額が上がることはないからです。
一方、車検の残り期間は短いですが3年落ちの車は人気があり、新車に近い状態を期待できるため査定額アップが期待できます。
車検が切れた車を買取り査定に出そうとしても、公道を走行できないため持ち込み査定は受けられません。そのため、持ち込み査定を受けたい場合は、車検の残り期間に注意しましょう。
車を高く売るためのコツ
少しでも高い査定額を目指すために、査定を受ける前と査定時にできることがあります。
以下の4つをできるだけ行い、納得のいく買取額を目指しましょう。
査定前に洗車をして外装の汚れを落とし、査定士が状態を見やすくしておきましょう。また、車内はフロアマットを清潔にし、座席シートの隙間のゴミも取り除いて、今まで大切に乗ってきた車だとアピールしましょう。
車の清潔さは、それだけで査定士へのアピールになるため、丁寧に清掃することをおすすめします。そこまで神経質になる必要はなく、ガソリンスタンドなど自分でできる範囲でかまいません。
車の価値は日に日に下がっていくものです。こまめに乗る場合、走行距離も増えて買取額に影響します。また、車のモデルチェンジがあると、買取額が下がることもあります。
車を売ると決めたら早めに査定に出して、買取額を調べましょう。
車の需要は新生活の始まる4月と9月に高まるため、業者は2~3月と7~8月に買い取りを強化する傾向があります。また、半年ごとの決算の時期と被るためでもあります。
そう聞くと、4月に売却を考えていたが高く売れそうな7月を待ってから売ろうと考えるかもしれませんが、早めに査定を受けたほうが買取額が高くなる場合もあります。
新生活の準備期間を待つ間にモデルチェンジがあったり、車に不具合が生じたりすると査定額は下がるので注意しましょう。
事故歴や修理歴は嘘をついても査定士に見抜かれるため、正直に答えましょう。自分で直した軽度の傷もあらかじめ伝えたほうが、後からトラブルになることを避けられます。
査定時に嘘がバレると、他にも隠していることがあると疑われ、買取額に影響する恐れがあります。
良いワンオーナー車と悪いワンオーナー車の違い
ワンオーナー車は業者によっては評価が高くなります。中でも女性のワンオーナー車は、査定額アップを期待できるとされています。
女性のワンオーナー車は、喫煙せず清潔に乗られている傾向があるため、良いワンオーナー車と判断されやすいです。
同じように車内で喫煙せず、汚れもニオイもほとんどない車は、所有者が男性であったとしても良いワンオーナー車に当たります。
同じワンオーナーでも購入後一度もメンテナンスを受けず、定期点検記録簿自体がない車は、悪いワンオーナー車とみなされ、査定額は下がる傾向にあります。