車を買い取ってほしい場合、査定をしてもらう必要があります。査定は車の売却価格を正確に把握するためのものであり、査定額に納得できれば売買契約へと進みます。
この査定を受けるためには、いくつか手続きが必要です。そして手続きする前には事前の準備も大切です。
この記事では、車の買取り査定時の手続きについて詳しく解説します。事前にしておくべき準備や査定を受ける際の注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
車を買取り査定してもらう前に手続きの流れを確認しよう
まずは、買取り査定についての基本的な知識について解説します。
買取り査定は、車の現在の価値を知るために重要なものです。
査定を受ける際は、持ち込み査定と出張査定車の2種類から選ぶことができるので、どちらで受けるか申し込み前に確認しておきましょう。
また、査定にかかる所要時間も把握し、余裕を持ったスケジュールを立てておくことが大切です。
買取り査定で愛車の価値が分かる
買取り査定とは、売りたい車の価値を正確に把握するために行うものです。売却前に査定を受けることで、その店舗で車をいくらで買い取ってもらえるかが分かります。
査定は、日本自動車査定協会が定めるルールに従って行われます。車の状態・走行距離・車検がどのくらい残っているかなどを細かくチェックして、見積り金額を算出する流れです。
車検が切れている車や故障して動かない車でも、査定は受けられます。
買取り査定にかかる費用は基本的に無料です。
買取り査定をしてもらう際は、持ち込み査定と出張査定の2種類から選ぶことができます。
持ち込み査定とは、店舗に車を持ち込んで査定してもらう方法です。事前予約してから、約束した日時に店舗へ直接赴いて査定を受けます。
出張査定とは、査定士が直接自宅を訪問し、車を査定する方法です。不動車や車検切れ車の場合、こちらの査定を受けることになるでしょう。
出張査定は、持ち込み査定と違って直接車を動かす必要がないため、手間や時間が省けます。ただし、店舗によっては出張費が別途必要となるケースもあるので注意が必要です。
買取り査定にかかる時間は、車種や車の状態などによって変動します。
事故車や故障車などでチェックポイントが多いと1時間程度、状態が綺麗で走行に問題ない車であれば30分程度です。
査定を受ける時間は、さほど長くありません。しかし、その後の金額交渉次第では、さらに時間が延びるケースもあります。
査定士との交渉次第で金額が変動することもあるため、交渉時間も念頭に置いておきましょう。当日は、1時間程時間に余裕を持って査定を受けるのがおすすめです。
買取り査定を受けたら、必ず売却しなければならない訳ではなく、査定だけを受けて契約を断っても構いません。売却しないことによるペナルティはないので、安心してください。
複数の店舗に査定を受けてから売却先を絞っても、何も問題はありません。
最初から査定だけを希望する場合は、申し込みの時点で「査定のみ希望である」ということを伝えましょう。買取店からの強引なセールスを事前に防げます。
査定額を聞いてから断る場合、査定士にはっきりと断る意思を伝えることが大切です。曖昧にすると、後で「売却の意思があると思った」と言われてトラブルの原因となることがあります。
買取査定の手続きの流れ
ここからは、一般的な買取り査定の流れを解説します。
基本的には、買取店に事前申し込みをした後に査定を受け、合意できれば売却の契約へと進む流れです。
手続き自体は決して難しくありません。その際のポイントや注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
まずは、買取り査定の依頼をする店舗に申し込みをします。公式サイト・電話・メール・LINEなどから連絡してみましょう。
その後、店舗から日程調整の連絡がきます。車種や走行距離、車の状態などを簡単に聞かれるので、すぐに答えられるように準備しておくのがおすすめです。
持ち込み査定であれば、事前申し込みをせずとも査定してくれるケースがあります。しかし、繁忙期だとすぐに対応してもらえないこともあるので、スムーズに進めたい場合は予約をしておきましょう。
買取店と約束した日時に車を査定してもらいます。
持ち込み査定なら店舗で、出張査定なら自宅などに査定士が来て査定が行われます。
査定を受けている間は、とくに何もしなくて大丈夫です。途中で査定士から質問をされたら、素直に答えるようにしましょう。
もしも査定士に聞きたいことや伝えたいことがあれば、査定前に伝えておくとスムーズです。
査定が終了すると、査定士がその場で査定額を提示します。この査定額を見て、その店舗に車を売るかどうかを判断しましょう。
査定額に納得できれば、契約へと進みます。査定士の指示に従って、書類を渡したり契約書に記入したりします。
逆に査定額が低くて納得できない時は、その旨を正直に伝えることが大切です。上手に交渉すれば、査定額がアップする可能性もあります。
それでも査定額が低いと思ったのなら、売却を断りましょう。「その金額では売れない」と、はっきり伝えてください。
車の買取査定を受ける前にするべき準備
買取り査定の前には、しておくべき準備がいくつかあります。手続きがスムーズに進むだけではなく、査定額がアップする可能性もあります。
ここからは、査定前にしておくべき準備を7つ紹介していきます。
査定を受ける前には、その車の買取相場を調べておきましょう。相場が分かっていれば、提示された査定額が高いのか安いのかすぐに判断できます。
買取相場を調査するなら、インターネットを利用するのが便利です。「車種 買取相場」などと検索すると、おおよその買取相場や査定実績データなどが出てきます。
なお、査定額は車のグレード・年式・走行距離などによって異なります。これらを照らし合わせながら、車の査定額を把握しましょう。
なお、データは直近のものを参照するようにしてください。査定額は相場変動の影響を受けやすいためです。できれば、直近1ヶ月のデータを見るのがおすすめです。
車に事故歴や修復歴があれば、査定前に必ず伝えてください。とくに修復歴に関しては、売約時に告知義務となっているケースも多いため、注意しましょう。
修復歴とは、フレーム・ルーフなど、車を支える骨格部分を交換や修理した経緯のある記録のことです。
骨格部分は車の寿命にも関わる重要なパーツであり、後に不具合が生じると修理費が高くなる可能性があります。そのため、修復歴があると査定額は下がります。
査定額を下げたくないために、修復歴を隠蔽するのはおすすめしません。修復歴を告知せずに売却しても、のちに発覚して責任を問われ、損害賠償を請求されることもあります。トラブルを避けるためにも、最初から正直に申告しましょう。
車検証にある所有者欄がディーラーやローン会社の名前になっていると、所有権解除をする必要があります。
所有権解除とは、所有者を自分の名前に変更することです。
所有権解除を行わないと車を売却できません。ローンが完済していれば手続きが可能なので、購入先のディーラーまたはローン会社へ連絡しましょう。
ディーラーまたはローン会社に所有権解除をしたいと伝えれば、必要な書類が送付されます。それらに記入・押印し、印鑑証明書や納税証明書などの必要書類を送付すると、所有権解除に必要となる書類が手元に届きます。
売却時には、これらの書類をそのまま買取店へ渡しましょう。陸運局へ行って手続きする必要はありません。
査定前には、売却に必要な書類をあらかじめ用意しておきましょう。契約する時に手続きがスムーズに進むだけでなく、車を本気で売りたい気持ちをアピールできます。
普通自動車を売却する際に必要な書類は、以下の通りです。
- 車検証
- 自賠責保険証明書
- リサイクル券
- 納税証明書
- 譲渡証明書
- 委任状
- 印鑑登録証明書
- 実印や認印 など
軽自動車を売却する場合は、上記の印鑑登録証明書や実印は不要となります。
車検証や自賠責保険証明書は、査定時にも提示を求められることがあります。原本がなければ、査定前に再発行しておきましょう。
車検証を再発行する場合は、管轄の陸運局(軽自動車の場合は軽自動車検査協会)に行けば手続きが可能です。
自賠責保険証明書を再発行する場合は、加入している保険会社に連絡して、再発行手続きを行ってください。
メンテナンスノートがあれば、必ず査定時に伝えるようにしましょう。査定額がアップしやすくなります。
メンテナンスノートとは、点検整備記録簿とメーカー保証書があるものです。法定点検時における整備記録が記されているため、査定時に車の整備状況などを参考にすることがあります。
紛失している場合、ディーラーに相談すれば取り寄せてもらえるかもしれません。整備記録が残らない可能性が高いですが、メーカー保証書になります。
また、車の付属品も用意しておきましょう。スペアキー・取扱説明書・スペアタイヤなど、車の購入時に付属してきた備品です。
純正品を取り外して社外品を取り付けている場合、あれば純正品を準備しておいてください。社外品よりも純正品のほうが、査定評価が上がりやすいとされています。
ただし、中には社外品のほうが評価が上がるものもあります。そのため、社外品を純正品に取り替えたりせず、そのまま査定に出すのがおすすめです。
査定前には、車を洗車しておくことをおすすめします。見た目が綺麗な車であれば大切に扱ってきた車であることがアピールでき、査定額アップの交渉もしやすくなります。
掃除は簡単なもので構いません。外装は丁寧に洗車し、内装は軽く拭いて、汚れを取ってください。
車の中の荷物が多ければ、片付けて整理しておきます。床にお菓子や紙くずなどが散乱していれば、掃除機もかけておきましょう。
ニオイにもなるべく気をつけたいところです。ニオイのきつい芳香剤は取り外して、換気しておきましょう。
隅から隅まで細かく掃除をする必要はありません。清潔感のある印象を与えられる程度で大丈夫です。
車の傷や凹みを修理してから査定に出すのは、おすすめしません。そのままの状態で査定に出しましょう。
小さな傷や凹み程度であれば、査定額が大きくマイナスになることはありません。むしろ、修理代のほうが高くなる可能性があります。
買取店は修理工場と提携しているところが多いです。そのため、一般の人が修理工場で依頼するよりも、安い費用で修理できます。
傷や凹みは無理に修理せず、査定時にその箇所を伝えるだけで大丈夫です。
車を買取り査定してもらう際のポイント・注意点
査定を受ける際、いくつかポイントや注意点もあります。これらを知っておけば、トラブルを回避できたり査定額アップの交渉がしやすくなります。
とくに重要だと思うポイントや注意点を、以下に6つまとめました。
提示された査定額は、査定した時期や車の使用状況によって変動しやすいです。そのため、数カ月後には金額が上下する可能性があります。
とくに1〜3月頃に査定を受けた場合、査定額は高くなりやすいと言われています。この時期は、環境の変化や新年度などの理由で需要が高まるためです。
また、査定後に走行距離が伸びたり、傷や凹みができたりすると減額となります。査定だけを受ける場合は、金額の変動に要注意です。
売却時に自動車税などが返還される可能性があります。そのため、契約時には確認しておくと良いでしょう。
普通車だと3月より前に売却した場合、「自動車税」が月割で返還されることもあります。また、車検が残っている状態で車が解体される予定なら「重量税」が還付されます。
これらの還付金は、売り主に返還するよう法律で定められているわけではありません。しかし、買取店によっては買取金額にこれらの還付金として含めているケースもあります。
売買契約書を見る際、これらの還付金の項目があるかどうかチェックしましょう。もしなければ店舗側に確認すると良いでしょう。
もしも分からないことや疑問点があれば、その場ですぐに査定士に質問しましょう。そのままにしておくと、後に大きなトラブルとなる可能性もあります。
例えば、査定額を算出した根拠や減額となった箇所の確認などが挙げられます。不当な言い訳や曖昧な理由で減額されている場合、安く買い叩かれている可能性が高いので注意しましょう。
とくに注意したいのが、契約時の契約書です。怪しい点や不明点がないか、内容が正しいかなどをしっかりと確認してください。
中には、「契約後、車に問題が発覚した場合は減額とする」といった記述が契約書にあるケースもあります。このように契約後に減額するのは「消費者契約法第10条」違反です。
こうしたトラブルを避けるためにも疑問点や不明点は、その都度解決しておきましょう。
査定額に納得できなければ、損をする可能性が高いので、その場で無理に契約しないようにしましょう。
契約によっては、キャンセルしようとすると違約金が発生することもあります。とくに車や書類を買取店に渡した後は、キャンセル不可となる場合もあります。
「今すぐ契約してもらえれば金額を上乗せする」などと、店舗側が提案してきた時は要注意です。実は、提示した金額が相場よりも安い金額で、値上げしたように見せかけて早めに買い取ろうとしている可能性もあります。
契約に進むのは、本当に心から売却を決断できた時だけにしましょう。
査定士とやりとりする際は、なるべく気持ちのいい対応を心がけましょう。査定額の交渉や売約が、スムーズに進みやすくなります。
例えば、以下のことを意識してみてください。
- 質問されたら分かりやすく答える
- 相手に不愉快な印象を与える言動を避ける
- 上から目線で話さない
査定士も同じ人間なので、誠実な態度を見せれば、相手も紳士に対応してくれます。決して威圧的な態度はせず、誠実に対応しましょう。
車のセールスポイントがあれば、査定士にしっかりとアピールしましょう。大切に扱ってきた車であることを伝えれば、査定額アップの交渉もしやすくなります。
例えば、こまめに洗車をした、オイル交換をまめに行っていた、車庫保管で傷を一つも付けなかったなどです。日頃から大事に扱われてきた車ほど状態もいいので、査定額もアップしやすくなります。
その他にも、フルオプション装備であることや、ワンオーナー車であることもアピールポイントになります。
これらのアピールポイントがあれば、しっかりと伝えていきましょう。