車のシートに汚れがあると、不衛生な印象を与えるので買取り査定では不利になることが多いです。汚れの程度によってはシートの交換も必要になり、大幅な減額は免れません。
この記事では、シートに汚れがあると、どのように買取額が変わるのかを見ていきます。また、マイナス査定を回避するためにシートの汚れの落とし方も紹介していくので、参考にしてください。
車のシートに汚れがあると買取り査定額が下がる原因に
車の査定では、車内の状態もチェックされます。シートの汚れも査定額に大きく影響するポイントの一つです。
シートは人が座るものなので、服の汚れが付着することもあります。車内で飲食すると、食べかすや飲み物などがこぼれて汚れてしまうこともあるでしょう。数年使えば自然と汚れるものなので、仕方ありません。
しかし、汚れがひどい場合は査定額が下がってしまうこともあるので注意しましょう。
例えば、3年落ちの車なら、さほどシートが汚れていないのが普通ですが、5年、10年経過した車のように著しく劣化している場合は査定額に大きく影響してきます。
シートの評価基準
ほとんどの中古車買取業者が参考にしているのが、一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)が定める査定基準です。
JAAIが定める査定基準では、シートに関する査定項目がきちんと明記されています。減点方式をとっており、1点が1,000円で換算されます。
まず内装が綺麗な車は+20点で約20,000円のプラス査定です。
内装部分に傷が見られる場合は程度にもよりますが、さほどひどくなければ-10点となります。シールやテープ、接着剤などの跡がついていれば-10点、ハンガーパイプがついていれば-10点です。
また、タバコやペット、強い芳香剤の臭いやペットの毛がついている、天井などにタバコのヤニが付着していると-40点となっています。約40,000円も減額されることになるので、注意しましょう。
シートのタイプによっても査定基準が異なってきます。
シートが分かれていて、動かし方一つで乗っている方が好きな姿勢を取れるのが「セパレートシート」です。
汚れがひどく交換の必要がある場合は、シートの材質と場所によって減点数が異なります。
クッション部分は-25点、バックは-35点の減点です。
クッション部分は-20点、バック部分は-30点の減点です。
大体25,000~35,000円もの減額となってしまいます。
後部席が一つの長椅子のようにつながっているのが「ベンチシート」です。
汚れのために交換が必要となれば、ベンチシートもシートの材質と場所によって減点数が異なります。
-40点
-30点
セパレートシートの場合はクッションとバックの部分が分かれており、それぞれが交換対象となります。一方、ベンチシートはクッションとバックの部分がまとめて評価されるので、やや減額される金額が高くなってしまいます。
ちなみに本革シートは素材が高級なので、交換となるとかなりの減額になるでしょう。フロントシートで-50点、リアシートだと面積が広いので-100点もの減点となります。
シート汚れの主な原因
シート汚れの原因の一つが「飲食物の汚れ」です。車内で飲食すると食べかすやジュースなどの飲み物をこぼすことがあります。
自分では気をつけているつもりでも、気づかないうちにシートにこびりついたり、隙間に入り込んでしまったりして汚れてしまいます。
小さなお子さんは飲食物をこぼしやすく、そのまま寝てしまうとよだれなどが付着することもあるでしょう。他にも、お漏らしをしてしまったり、具合が悪くなって嘔吐してしまったりでシートが汚れることもあります。
また、靴のままでシートの上に上がると泥や砂などで汚れやすくなります。ペットを車の載せるという方も、毛が付着する、よだれや排泄物がついてしいまうこともあるでしょう。
そして車内で喫煙するという方は、タバコの煙に含まれるヤニがシートに付着して黄ばみの原因となってしまいます。
他にも油や泥などを仕事で使う場合、着替えずに作業着のまま車に乗るとシートに汚れがついてしまうということも考えられます。
シートに付着した汚れをそのまま放置すると、時間が経つにつれてシートの中にまで汚れが染み込んでいきます。汚れがやがてシミになり、シートを変色させてしまいます。
また、食べかすの場合は、菌が繁殖してカビが発生してしまい、嫌な臭いの原因にもなるでしょう。車内は不衛生な状態となり、見た目にも汚い印象を与えてしまいます。
汚れは放置すればするほど、どんどん落としにくくなってしまいます。
査定額を下げないためにもシートの汚れをどうにか綺麗にしたいものです。それなら、業者に依頼して車内のクリーニングをしてもらえば問題ないと考えるかもしれません。
確かに専門業者に頼めば、ひどい汚れでもある程度までは綺麗にしてくれるでしょう。しかし、問題はクリーニング費用です。
一般的に車内のクリーニングには高額な費用がかかるとされています。査定前に大きな出費となってしまうでしょう。
クリーニングをしたことで査定額が上がれば良いのですが、さほど変わらない場合もあります。逆にクリーニング費用のほうが高くつくと、損することになるので十分注意が必要です。
査定前にシート汚れを解消する方法
シートに汚れがある場合、買取り査定では減額になってしまう場合が多いです。少しでも減額を防ぐには、査定前に汚れを落とすことです。
ただし、シートの材質や汚れの種類によって落とし方が違ってきます。落とし方を間違えると、汚れが落ちないどころか逆にシミになって目立つリスクもあるので注意が必要です。
また、ある程度やっても落ちない場合は無理にやりすぎないことも大事です。濃い汚れが目立たなくなるだけでも十分効果があります。
無理にこすったり、きつめの漂白剤を使ったりするとシートが傷つき、剥げるリスクがあります。
ここからは、できる範囲で汚れを落とす方法を4つ紹介します。
シートの表面に付着した汚れについては、まず掃除機をかけましょう。泥やホコリ、髪の毛やペットの毛、食べかすなどは除去できます。
ダッシュボードやハンドルなどのホコリは、掃除機の先端で傷ついてしまうのでマイクロファイバークロスでふき取ると綺麗になります。
髪の毛などシートに入り込んでしまっていると、なかなか掃除機では除去しにくいです。そんな場合は、粘着ローラーをかけるか指で引っ張って綺麗にしましょう。
ジュースなどの飲食物の汚れは、変色しやすく、シミになってしまうと落としにくくなります。できる限り時間をおかずに早めに処置することが大事です。
まず、濡らしたタオルでシートを拭きます。水で薄めた中性洗剤にタオルを浸し絞り、シートをたたいて汚れをタオルに移します。
濡らしたタオルで洗剤をふき取り、乾いたタオルで水分を拭いて乾かしてください。もし時間が経過してシミになってしまった場合は、酸素系漂白剤を薄めてタオルにつけ、拭いてみましょう。
ただし、漂白剤はシートの色が剥げてしまうリスクがあるので、目立たない場所で試してから行います。
※塩素系漂白剤は脱色作用が強いので使わないでください。
また、スチームクリーナーがあれば、使うことで汚れが除去できる可能性が高まります。
汗やよだれなどの汚れには、セスキ炭酸ソーダ水が効果的です。
セスキ炭酸ソーダは、重曹と炭酸ナトリウムを混ぜ合わせたアルカリ性のものです。汗に含まれる皮脂汚れを落とす作用があり、重曹よりも洗浄力が強いとされています。
セスキ炭酸ソーダ水をシートにスプレーし、水で濡らしたタオルでたたいて落としましょう。乾いたタオルで拭いてから、ドライヤーの冷風で乾かします。
タバコの煙に含まれるヤニは、黄ばみの原因になります。ヤニは有害な植物性樹脂で粘着性があるので、落としにくい油汚れです。
エタノールは油を分解して落とす作用があるので、シートに吹きかけて濡れたタオルでふき取りましょう。その後、乾いたタオルで水気をふき取ります。
ファブリック地のシートの場合は、繊維の中にまでヤニ汚れが染み込んでしまうのでなかなか落ちません。車内用のブラシでブラッシングしてからエタノールを吹きかけると、汚れが浮き上がりやすいでしょう。
本革シートの場合は、変色の恐れがあるので専用のクリーナーを使うことをおすすめします。また市販のキッチンコンロの油汚れに効く洗剤を薄めて浸したタオルでシートを拭くのも効果的です。
汚れ同様に臭いにも注意
シート汚れと同様に、査定時の車内の状態で問題となるのが「臭い」です。シートに臭いが染み込んでしまうとなかなか取れません。
査定では、車内に臭いがすればそれだけで減額となってしまう場合があります。
車内の臭いで気になるのが「タバコの臭い」です。車内で長期間喫煙すると、煙の臭いがシートや天井などに染み込んでしまいます。
また、ペットを車に乗せる場合も、動物特有の臭いが染み込んでしまうことがあります。排泄物やよだれの臭いも除去しにくいので、査定時のマイナス要素です。
車内での喫煙を長期間続けると、タバコの臭いがシートに染み込んでしまいます。タバコの独特な臭いは、タバコを吸わない方には結構気になるものです。
エタノールや重曹水をスプレーして濡れたタオルでシートを拭き、乾いたタオルで水気を取るヤニ汚れ除去と同じ方法で、臭い対策を行いましょう。足もとのマットも中性洗剤で洗って乾かしておいてください。
また、エアコンの送風口にもタバコの煙が入り込みます。エアコンをオンにするとタバコ臭い風が出てくるので、エアコンフィルターも交換しておく必要があります。
一通り洗浄したら消臭剤を車内において、しばらく様子を見ましょう。
犬や猫などのペットを頻繁に車に乗せて移動する場合、シートにペットの臭いがつく可能性が高いです。動物特有の体臭や排泄物などの臭いは気になるもので、査定においてもマイナス要素になります。
臭いの原因となるペットの毛を、掃除機や粘着ローラーをかけて綺麗に除去します。濡れたタオルでシート全体を拭いてから、中性洗剤を薄めた液にタオルを浸して絞り、再度シートを拭きましょう。
そして、濡れタオルでもう一度拭いてから乾いたタオルで乾拭きします。さらにペット専用の消臭スプレーを吹きかけて、乾かしてください。
タバコの煙同様にエアコン内にも臭いが付着している可能性が高く、オンにすると送風口から嫌な臭いが出てきてしまいます。エアコンのフィルターも洗浄し、消臭スプレーをかけて様子を見ましょう。
シートの破れやほつれにも注意
シートの汚れや臭い以外にも、破れやほつれなども査定時にはチェックされます。
新車を購入してからある程度年数が経過していると、長期間シートに座っているので体重がかかり、自然にへたってきます。しかし、さほど年数が経過していないのに必要以上にシートが劣化していると、査定に影響を及ぼす可能性がります。
シートに破れ、ほつれがある場合は、軽微なものなら市販のスポンジなどの補修材や補修生地を使えば自分でも補修することが可能です。
まず、シートの破れの周りをハサミでやや大きめに丸く切りましょう。中に補修材を詰めて穴を埋めて、補修生地を上から綺麗に被せます。後は専用の接着剤で貼り付けて乾かせば完成です。
もし自分で上手にできそうにない場合は無理にやらないで、そのまま査定に出すというのも一つの手です。業者に補修を依頼すると高くつくことがあるので、注意しましょう。
車を綺麗な状態で保つには?
車内のシートに汚れや臭いがあると、査定時に減額される可能性があります。減額を阻止するには、日頃からシートが汚れないように対策をしておくことが大事です。
まず、シートが汚れたらすぐに掃除するようにしましょう。汚れは時間が経てば経つほど、中にまで染み込んで落としにくくなります。早めに対処することで、シミを防ぐことが可能です。
また、臭いも同様で、すぐに換気・消臭するのがポイントです。
シートが汚れるリスクを減らすため、シートカバーをつけておくのも良いでしょう。定期的にカバー洗濯すれば、シート自体はいつまでも清潔に保つことができます。
飲食物をシートにこぼしてしまったら、すぐにティッシュや乾いたタオルで押さえて吸い込ませましょう。それから、濡れタオルや除菌ウェットティッシュなどで軽くふき取ります。
汚れが完全に落ちずにシートにシミが残ってしまったら、蒸しタオルをあててしばらく置くとタオルに汚れが付着するはずです。最後は乾いたタオルでふき取り、乾燥させます。
シートを濡れたままにしておくと、カビが発生するので注意しましょう。
また、お菓子などの食べかすや泥などがついた場合は、掃除機でこまめに吸い取っておくと清潔感が保てます。
足もとのマットも定期的に水洗いしておくと、汚れが落としやすいです。
車にペットを乗せる、車内で飲食する際は、その間少しでもいいので窓を開けて常に換気しておくことが大事です。
臭いは一度シートに付着すると取れにくいので、こまめに中の空気を外へと出して循環させておきましょう。
また、車内専用の消臭剤を置いて、臭いがこもらないようにするのがポイントです。
車に降りた後は、こまめに消臭スプレーをかけ、しばらく窓やドアを開けて換気しておきましょう。
タバコを吸う場合も同様ですが、特にタバコの煙はシートや天井に付着しやすいため、できれば車内で吸わずに降りて吸うことをおすすめします。
また、車内で吸う場合は煙が出ない電子タバコに変えるなど少し工夫してみてください。
シートの汚れや臭いを防ぐには、車を購入してから早めにシートカバーをつけるのも効果的です。シートカバーにも色々な種類がありますが、丸洗いできて外しやすいものがおすすめです。
車種専用タイプは車のシートの形にぴったりフィットするのでインテリアに個性が出ますが、やや値段が張ります。
そこまでお金をかけたくない場合は、伸縮性があってどの車にも合いやすい凡用タイプがおすすめです。コットンやポリエステル、デニムなど素材も多彩です。
合成皮革は汚れに強いので特に汚れが気になるという方におすすめですが、素材は質感を見ながら好みに合わせて選びましょう。
撥水加工を施してあるカバーなら、飲み物などの液体がこぼれても中に染み込むのを防ぐことができるので、汚れ落としには効率的です。