車の売却についての疑問

車の売却時にリサイクル料金は返金されるの?詳しい仕組みを知ろう!

車を所有するとリサイクル料金を支払わなければなりません。しかし、このリサイクル料金をいつ、いくら支払っているのか知らないという方も多いものです。

また、この料金は廃車の際に車を解体し、部品を処理するのに使われる費用です。

もし車を廃車にせずに売却する場合は返金されるということもあまり把握されていないのが現状でしょう。

そこで、この記事では車を売却する際のリサイクル料金の扱いについてやリサイクル料金の内訳、リサイクル券などについて詳しく説明します。

車のリサイクル料金とは?

車のリサイクル料金とは?
車のリサイクル料金というのは車を廃車にする際に処分にかかる費用のことです。

車は性能が良くなって故障しにくくなりましたが、やはり年数の経過と共に部品が劣化してきます。走りが悪くなったり部品交換に費用がかさむようになると買い替えるのが一般的です。そして今まで乗っていた車はもう使えなくなり、廃車処分となります。

廃車では車を解体しスクラップにして処理するのですが、ボディや部品の破砕には費用がかかります。この廃車処分の費用はこれまで専用の業者が負担していました。

しかし、車を使うことが当たり前の昨今、廃車処分しなければならない車の数も増加し処分費用が高額になりつつあります。そうなると利益を上げるために業者は適正な処分をしないで不法投棄したり、費用が安く済む適当な処分をしたりするようになりました。

その結果、環境汚染などが社会問題となったために廃車費用を車の所有者が負担しなければならなくなったのです。そのため、リサイクル料金は廃車する車の所有者に請求されることになっています。

自動車リサイクル法とは?

自動車リサイクル法は廃車の際に出るゴミを減らし、環境を保護して資源を大切にする目的で作られました。

車を廃棄処分する際に「車の所有者」「自動車メーカー」「廃車業者」それぞれの役割を規定している法律です。

車の所有者には、車を長期的に使用し、環境に配慮した車を選ぶという役割が求められています。そして、廃車を排出する者として最終的にリサイクルされ一部廃棄ゴミとなる廃車の処分に関しても車の所有者が責任を負うべきだという考え方が自動車リサイクル法ではなされています。そのため、車の所有者に廃車処理にかかる費用を負担してもらうということになっています。

自動車メーカーには、環境に配慮した車を設計、製造する役割があります。

廃車業者には、車を解体し、鉄などの有用金属をリサイクルして有効的に活用することと、残りの廃棄物は環境を汚染しないように専門技術を使って安全に廃棄処理し、適正に埋め立てて処分するという役割を担っているのです。

リサイクル料金で処理される廃棄物

車を廃車にした場合、鉄などのリサイクルできる部分とリサイクルできないので廃棄物として処分しなければならない部分が出てきます。

リサイクル可能な金属は再度使えますが、廃棄物は適正に処理しなければなりません。廃棄物は1台の車両から重量の20~25%程度出るとされています。

どのような廃棄物が出るのかは、以下の通りです。

1.シュレッダーダスト

車体を解体、破砕したときに残ったガラスやプラスティックなどです。ウレタン繊維は熱エネルギーに、ガラスは舗装材などにリサイクルされます。リサイクルできないクズは埋め立てます。適正に処理されないと土壌汚染などの環境破壊が起こる可能性があります。

2.フロンガス類

車に使われているエアコンはフロンガスなどを冷媒として用いています。フロンガスはそのまま空気中に放つとオゾン層を破壊し、地球温暖化を招く恐れがあります。そのため、高熱により成分を分解し、無害化する必要があるのです。

3.エアバッグ類

エアバッグやシートベルトプリテンショナーは、正しい処理をしないと爆発の危険性があります。シートベルトプリテンショナーは車が衝撃を受けた際にシートベルトを巻き取り、乗員を座席に固定して身体を守る装置のことです。エアバッグと共に解体後、安全な方法で処理する必要があります。

リサイクル料金を支払うタイミング

リサイクル料金を支払うタイミング
リサイクル料金は原則として新車を購入する際に支払わなければならないことになっています。料金を支払った証明として「リサイクル券」が発行されます。

リサイクル券は大切に保管し、最終的に廃車処理のする際に廃車業者に渡さなければなりません。

自動車リサイクル法は2005年から施工されています。それ以降に新車を購入した所有者は既にリサイクル料金を支払っていることになるでしょう。

車を売却する際もリサイクル券を引き渡すことになります。そのため、現行で中古車市場に出回っている中古車にも既にリサイクル券は付帯している場合がほとんどです。

中古車であっても購入時はリサイクル料金を支払う必要があります。そして、同様にリサイクル券を受け取るのできちんと保管しておかなければならないのです。

リサイクル料金の相場

リサイクル料金は車種や自動車メーカーによって異なります。

それは、ボディの大きさによって備わっているエアバッグやシートベルトの数が違うからです。また、同じ車種でもメーカーによってはリサイクル料金の値段が違うので注意しましょう。

車種別のリサイクル料金の相場は以下になります。

  • 軽自動車…7,000円~16,000
  • 普通乗用車…10,000円~18,000円
  • 中型大型トラック…10,000円~16,000円
  • 大型バス…40,000円~60,000円

リサイクル料金はシュレッダーダストやフロン類の処分費用に加え、リサイクル料金自体を管理する資金としても必要です。具体的には情報管理料金が130円、資金管理料金が290円などが加算されます。

また、リサイクル料金の支払いが対象外となる車両もあります。それは以下の車両です。

  • 原付
  • サイドカー(側車付二輪自動車)
  • 大型特殊自動車
  • 小型特殊自動車
  • 被けん引車
  • 農業機械
  • 林業機械
  • スノーモービル など
リサイクル料金は法人が一時預かり管理する

リサイクル料金は車を購入した際に支払います。支払いが完了するとリサイクル券が発行され、販売店から受け取ることができます。

支払ったリサイクル料金は、販売店から資金管理法人が預かって管理することになっています。

資金管理法人とは、財団法人自動車リサイクル促進センターという団体のことです。集められたリサイクル料金を安全かつ確実な方法で管理し、運用結果は四半期ごとに開示されています。そして、廃車の際にリサイクルにかかる費用を業者からの請求に基づき払い渡すという役割を担っています。

車の売却時にリサイクル料金は返金される

車の売却時にリサイクル料金は返金される
リサイクル料金は一度支払えば、それ以降は支払う必要がありません。そして、廃車する際に支払ったリサイクル料金は使われます。

しかし、車を売却すると廃車にする必要がないため、支払ってしまったリサイクル料金はどうなるのか疑問に思う方もいるでしょう。

基本的にリサイクル料金は車の所有者が変わるとリレーのバトンのように次の所有者へと渡され、廃車になるまで引き継がれていきます。そして、最終的に廃車にするときに車を処分する費用として使われることになります。

そのため、車を売却する所有者にはリサイクル料金が返金されます。そして車を購入する次の所有者が新たに支払うという形になっています。

買い取りや下取りに出す場合のリサイクル料金の返金方法

買い取りや下取りに出す場合のリサイクル料金の返金方法
車を売却する際は基本的にリサイクル料金を返金してもらえることが可能です。

リサイクル料金は車を解体し、廃車処理するために使われる費用なので、廃車にならない段階で手放せば払った分は返ってきます。

本来は次の車の所有者から返金されるのですが、売却先が中古車買取業者の場合は業者が一旦リサイクル料金を立て替えて前の所有者に返金します。そして車を買い取った次の所有者に請求するという形をとります。

また、ディーラーへ下取りに出した場合もディーラーがリサイクル料金を返金することになっています。

それでは中古車買取業者やディーラーからどのようにリサイクル料金が返金されるのか見ていきましょう。

リサイクル料金が査定額に含まれるケース

買取業者に車を売却する際、リサイクル料金の返金の仕方として査定額に含まれていることがあります。

この場合、査定額の総額に注目しがちなので、リサイクル料金が含まれているのか気づきにくいものです。

例えば、査定額が250,000円とします。この250,000円の中にリサイクル料金が10,000円含まれているとすれば、結果的には査定額240,000円となります。

車を売却する側は、リサイクル料金の返金があることを知らないケースが多く、算出された査定額だけで他社と比較して業者を選ぶ傾向にあります。そのため、敢えて返金されるリサイクル料金が査定額に含まれていることを伝えずに、商談を有利に進めようにとする業者もいるので注意が必要です。

リサイクル料金が別途支払われるケース

買取業者によっては、査定額とリサイクル料金の返金分を分けて考え、別に領収書を作成して支払う場合もあります。

例えば、査定額は240,000円でリサイクル料金の返金分が10,000円とします。査定額とは別に提示されるのでいくら返金されたのかは明確です。

リサイクル料金の返金込みで査定額が250,000円の業者と比較しても査定額の総額は違いますが、結果的に受け取る金額は同じということになります。

リサイクル料金が返金されているか要チェック

車の査定を受ける際は、前もってリサイクル料金が返金されるかどうかを確認しておきましょう。

車売却時にリサイクル料金は返金されるので、聞かないとうやむやになってしまう可能性があります。

「査定額に含まれているのか」「別途返金されるのか」も重要なポイントです。

車の査定額を比較する際、別途リサイクル料金が返金されるとします。そうであれば、査定額が安くてもリサイクル料金を加算すれば受け取る金額が最高額の業者もあるかもしれません。

リサイクル料金の話を業者にすることで、車の売却に関して詳しいお客さんだという印象を与えます。いい加減な価格は提示できないと思われ、高値がつく可能性もあります。

個人売買する場合のリサイクル料金の返金方法

個人売買する場合のリサイクル料金の返金方法
車の売却方法としては、業者を通さないで個人同士でやり取りして売買する方法もあります。主にオークションなどを使うことが多いでしょう。

売り手は売却価格を自分で自由に決めて、自分が売りたいタイミングで売却できます。

また、車買取業者などを利用すると諸経費や中間手数料がかかりますが、個人売買だとこういった仲介料がかからないぶん高く売れる可能性もあるでしょう。

一方で、車の名義変更などの手続きも全て自分で行わなければなりません。更に相手方との売買交渉が上手くいかないなどのトラブルが起きても自分で解決しなければならないので、デメリットもあります。

事前にリサイクル料金請求の説明をしておく

個人売買で車を売却する際は、自身が支払ったリサイクル料金も返金してもらえます。次の所有者である買い手に請求し、支払ってもらうのが一般的です。

リサイクル料金を売却代金に含むか、別途支払ったもらうかどちらでも構いません。事前に決めてきちんと買い手に説明しておく必要があります。

説明を忘れて売買契約が成立してから、リサイクル料金を請求するということもあるかしれません。買い手は提示された金額が支払う全ての費用だと思っていることもあるので、急に後からリサイクル料金を請求すると「話が違う!」ということでトラブルになる可能性があります。

廃車時はリサイクル料金の返金はされない

廃車時はリサイクル料金の返金はされない
廃車するには多額の費用がかかります。まず、車を解体し「リサイクル可能な部分」と「リサイクル不可な部分」に分けられます。

リサイクル不可な部分は、適正な処理が行われて環境を汚染しないように無害化され、埋め立てなどの処分がなされます。その際に使われる費用が、所有者が支払ったリサイクル料金になります。

廃車にする際はリサイクル券を業者に渡し、業者は自動車リサイクル促進センターから資金を受け取って廃車処分を行います。

売却時と違って廃車する場合は、支払ったリサイクル料金は返金されないので注意しましょう。

既に納めたリサイクル料金の再支払いは不要

リサイクル料金のことを理解していないと、車を廃車にする際にかかる費用を支払わなければならないと思いこむ方もいるでしょう。

車を売却しようと思っても「年式が古い」「走行距離が多い」などの場合は、中古車としての価値がつかないことがあります。そうなると廃車にするしかないわけですが、別途廃車処理にかかる費用を請求してくる業者もいるので注意してください。

2005年以降の新車の車は全てリサイクル料金が支払われており、リサイクル券が発行されているはずです。たとえリサイクル券がなくても、リサイクル料金の支払いが確認できればいくら要求されても支払う必要はありません。

業者の話を鵜呑みにして、リサイクル料金に関して無知だと二重払いをし、損してしまう可能性もあるので気を付けましょう。

車の売却もしくは廃車時にリサイクル券は必要

車の売却もしくは廃車時にリサイクル券は必要
リサイクル券はA券、B券、C券、D券の4枚で構成されています。

A券…預託証明書です。リサイクル料金を支払ったことを証明する券です。

B券…使用済自動車引取証明書です。廃車にする際に必要となる券です。

C券…資金管理料金証です。リサイクル料金は自動車リサイクル促進センターが管理しますが、その管理にかかる費用を支払ったことを証明する券です。

D券…料金通知書兼発行者控です。事業者側の控えとなります。

紛失しても再発行はされないが、支払いが証明できればリサイクル券がなくても問題ない

リサイクル料金を支払うと、リサイクル券が発行されます。

車を売却する際はリサイクル券が必要ですが、保管していたつもりが紛失して見つからないということもあるでしょう。

リサイクル券は紛失しても再発行することができませんが、リサイクル料金が支払い済みであることが証明できれば売却は問題なく進められます。

まず、ネットの「自動車リサイクルシステム」というサイトにアクセスしましょう。

「リサイクル料金検索」のタブをクリックして、登録番号などを入力すれば「預託状況」というページが出るので、その画面をプリントアウトして持参すればリサイクル券の代わりになります。

車の売却時は自動車税の返金もあるので注意しましょう

車を売却すると、リサイクル料金以外にも自動車税が還付されます。

自動車税(種別割)とは、毎年4月1日時点の車の所有者に課される税金です。排気量ごとに税額が決まっており、排気量が500㏄多くなるごとに税額が高くなります。(軽自動車の場合は一律で税額が決まっています)

自動車税は納付書が郵送されるので、期限までに1年分を「前払い」で納めることになっています。そのため、1年の途中で車を手放すと、課税対象がないのに税金だけ納めている状態になります。

それでは不公平なので、自動車税(種別割)は車を廃車した際に国や自治体から還付されることになっています。

車を売却した際は、還付制度はないのですが、買取業者によっては未経過分の自動車税相当額を査定額に上乗せしてもらえることもあるのです!

査定額が出た際に、自動車税(種別割)の返金分が含まれているか確認してみましょう。

まとめ

①車のリサイクル料金は廃車処理にかかる費用のこと
②自動車リサイクル法により、リサイクル料金は車の所有者が負担することになっている
③リサイクル料金は車購入時に支払うことになっている
④車の売却時はリサイクル料金は返金される
⑤リサイクル料金が業者から返金される際は「査定額に含まれている場合」と「別途支払われる場合」があるので、どちらの方法になるのか業者に確認したほうがいい
⑥リサイクル料金は廃車処理のための費用なので、廃車時には返金されない
※本記事は公開時点の情報のため最新と異なる場合があります。
カータル編集部
カータル編集部
この記事は中古車の売却、査定などについての知識が豊富な私たちが執筆しています。車を少しでも高く売るコツや必要な書類、手続きに関する疑問や質問にお答えしています。

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