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車を売却する際、買取業者を決めて査定をしてもらい査定額を知ることができれば、誰でもホッとすることでしょう。
実際に具体的な数字を知り、この先どんな風に進めていくのかを担当者に聞くことができれば、ある程度のことは完了となります。
しかし、ここで注意したいのが、契約後に車に傷をつけてしまった場合です。そうなると、再査定をしなければならなかったり、買い取ってもらえなくなることがあります。
今回は、契約後に車に傷をつけてしまった時の対処法や、傷によってどのような影響が出るのかを紹介していきます。
もしも車売却の契約後に傷をつけてしまったら?
車の売却は査定が完了して契約が済んでも、その日に車を引き渡すということはなかなかありません。
引き渡す日は契約する際に担当者と相談をして決めることが多いです。そのため、契約が済んだ車がまだ手元にある状態になります。
車の乗り換えなどの場合、次の車が納車されなければ売却予定の車を乗り続ける方もいるでしょう。
車に乗っている以上、自分では気をつけて乗っていても相手から事故をもらう可能性があります。また、駐車場に停めていて知らない間に傷がつけられていたということもあるかもしれません。
では、車の売却契約後に車を傷つけてしまった場合、どうすればいいのでしょう?
まずは買取業者に連絡をすることが大事です。査定と契約が終わっているので、もうその車は書類上は自分のものではありません。そのため、すぐに連絡をしてください。
傷の度合いによっては、そのままでも大丈夫なケースや査定額に影響するため再査定になるケースもあります。
ここからは、再査定の時に傷によってどのくらいの違いが出てくるのかを見ていきましょう。
査定額への影響とは?
中古車の査定は、全国共通の査定基準の元で査定されます。傷についてもある程度の決まりがあり、傷やへこみの「大きさ」や「深さ」がポイントになります。
以下では、車についた傷の大きさごとにどのような影響があるのかを見ていきましょう。
中古車の全国共通の査定基準では、1㎝以上の傷やへこみは減点対象とされています。
減点基準は3段階に分けられています。
②カードサイズ以上~A4サイズ未満(小)
③A4サイズ以上(大)
実際、カードサイズ以上~A4サイズ未満(小)までの傷であれば、そこまで査定額に違いは出てきませんが、A4サイズ以上(大)に該当する傷になると大きく減点されてしまうので、覚えておくといいでしょう。
また、小さな傷でもドアやバンパーなど少し離れた場所から見えるようなものは、減額される可能性が高くなります。
中古車の全国共通の査定基準では、1㎝未満の小さな傷は減点対象にはなりません。そのため、査定額にあまり影響しないと言われています。
その理由は、その程度の傷であれば簡単に修理することができるからです。傷消し用の研磨剤(コンパウンド)を使えば、直すことが可能です。
しかし、簡単に直るからと言って、自分で修理することはおすすめできません。信頼関係を築くためにも、正直に買取業者に報告しておいたほうが良いでしょう。
傷が大きく、車の各パネルの半分以上を占めるようなものは交換が必要となります。
このような大きな傷やへこみの修理にかかる費用は高額です。そのため、売買契約を破棄される可能性があることを頭に入れておいてください。
また、車内部のエンジンなどに影響があるほどの大きなダメージの場合は全損扱いで廃車をしたほうがいいと判断されるケースも少なくありません。
買取業者は、買い取った車をオークションに出したり、販売したりすることで成り立つ職種です。廃車となるような車を買い取っても車本来の利用価値が無いので、買取業者が買い取る可能性はほぼ無いでしょう。
全損とまではいかない場合でも、修理費の見積もりを取った後に修理するか廃車にするか選ぶことができます。
車の骨格を担う部分の修理を行った修復歴車は、通常査定額が大幅に下がってしまいます。
廃車になってしまった場合は、中古車買取業者とは別の廃車を専門としている業者に買取を依頼する必要があります。業者によっては数万円程度の費用がかかる場合があるので、業者選びも大事なポイントです。
傷をつけてしまった時にやるべきことは?
傷の大きさによって、こんなにも査定額への影響が違うということについて見てきました。
次は、契約後に車を傷つけてしまって買取業者に連絡をするときに具体的にどんな話をするのか、注意するポイント、傷をつけてしまった時にやるべきことを詳しく説明していきます。
契約後に傷をつけてしまったら、まずはすぐに買取業者に連絡しましょう。
担当者へ以下の内容を詳しく知らせる必要があります。
- 傷をつけた箇所
- 傷の状態
- 車が走れる状態かどうか
- 傷がついた経緯 など
傷の大きさにもよりますが、担当者へ連絡するともう一度査定をやり直して新たな査定額を提示されることがほとんどです。
減額されると分かっていれば連絡するのが億劫になるかもしれませんが、連絡をしないと後々トラブルになることがあります。先延ばしにはせず、すぐに連絡することが大切です。
車に傷をつけてしまった際、契約している買取業者に買い取ってもらうのではなく、キャンセルするというのも一つの選択肢です。
キャンセルを考えている場合には、キャンセルが可能かどうか確認しましょう。キャンセルが可能であれば、他の買取業者に買い取ってもらうことができます。
買取業者は、それぞれ得意とする車種や販売のルートがあります。そのため、傷がついていても車種によっては現在契約している業者よりも高く買い取ってもらえる可能性があります。
通常は、どこの買取業者でも契約後のキャンセル期間が設けられていることがほとんどです。キャンセル可能期間は契約書に記載されていることが多いので、査定額にばかり囚われずに内容をしっかり読むことが重要となります。
また、買取業者によってキャンセル期間が異なってくるので注意してください。
大きな傷やへこみの原因として考えられるのは事故です。事故を起こした場合は保険の内容をしっかり確認しましょう。
相手の過失割合が大きい場合は、相手方で修理代の大部分を支払ってもらえます。
しかし、自分に全く過失が無い場合でさえ、全額保証してもらえる可能性はやや低めです。自分の保険を使って修理することもできますが、保険の内容によっては等級が下がることもあるので注意しましょう。
保険がおりて修理ができれば、再査定に出すことは可能です。完全に修理されれば、事故前とほとんど変わりのない査定額をつけてもらえる可能性もあります。
ただし一つ気を付けておきたいのが、車の骨格となるフレームにダメージを受けた場合は、元の状態に戻すことが困難であるということです。
また、修復歴のある中古車は需要が減るため、本当に修理して買い取ってもらったほうがいいのか検討しなければなりません。
契約後に傷をつけないためにできること
契約後に車に傷をつけてしまうと、買取業者への連絡をはじめ再査定やキャンセル、場合によっては廃車の手続きなどを行わなければなりません。
本当であれば、後は車を引き取ってもらうだけだったのが、さまざまな書類の手続きや今後の進め方などに余計な手間と時間がかかります。そのため、そのようなことが起きないように対策することが重要です。
以下では、主な対策として4つの方法を紹介します。
まずは、査定が済んだ車には極力乗らないようにすることが一番です。
査定が完了し契約をすれば、引き渡しがまだでもその車は買取業者のものであることを覚えておきましょう。
一般的には査定から引き渡しまで長い期間があくことはないので、車はもう無いものとして考え、バスやタクシー、電車などの公共交通機関を利用したほうかいいでしょう。
また、次の車が納車されるまでは、なるべく大きい荷物を運ぶような用事は避けて、車での遠出なども予定に入れないことをおすすめします。
ずっと車を利用している方にとってみれば、車を使わない生活はとても不便なものになるでしょう。しかし、傷をつけてしまった時のリスクを考えると短い期間の我慢のほうがより賢い選択であると言えます。
さまざまな理由から、次に乗る車の納車日まで長い期間がかかってしまうというケースもあります。
特に新車に乗り換える場合、人気のある車種を購入したときは生産が追い付かず納車が遅れるということも少なくありません。そのような場合は、代車が借りられるか買取業者に相談してみましょう。
都市部以外に住んでいると、家から駅までの距離が遠かったり、電車も1時間に1本しかなかったりということが一般的です。そのため、代車があれば公共交通機関の利用が難しい方でも安心して日々の生活を送ることができます。
買取業者によって代車を出してくれるところと、そうでないところがありますが、まずは試しに聞いてみるのがおすすめです。
車に傷をつけてしまう可能性は、契約後だけではなく査定の行き帰りの時にも高くなります。そのため、査定は出張査定をしてくれる買取業者にお願いするのがおすすめです。
自分の家まで査定に来てくれると、わざわざ店舗に車を持って行かなくても済むので事故に遭う心配がありません。また、査定額に納得できて契約書類なども揃っていれば、その場で契約まで済ますことができます。
通常、引き取りは後日になることが多いですが、買取業者によっては即日引き取りをしてくれるところもあるようです。
どちらにしても、安全で手間がかからないので出張査定をしてもらうことも選択肢に入れておきましょう。
代車を借りられるか買取業者に相談してみましょうと紹介しましたが、代車が借りられなかった場合はどうしたらいいのでしょう?
方法として挙げられるのは、レンタカーやカーシェアリングを利用することです。
大体どこの市区町村にもレンタカーを借りられる場所があります。そのため、代車が無い場合はぜひレンタカーも検討してみてください。
代車の利用はできるけど、レンタカーよりも費用が高くつくといった場合にもおすすめです。
また、カーシェアリングという手段もあります。カーシェアリングとは、レンタカーとは違い必要な時だけ車が借りられる交通サービスです。駐車場に置かれた車を予約し、手軽に利用することができます。
子供の送迎で急な雨に見舞われた時や、かさばる買い物をした時、家族旅行の時など、さまざまな使い方ができます。
全国にステーションがあるため、乗り始めたステーションと違うステーションに返しても大丈夫な場合もあります。
レンタカーもカーシェアリングもそれぞれ違ったメリットがあるので、お好みに合わせて選んでみてください。
契約後についてしまった傷は修理した方がいいのか?
長年乗った車を手放す際は、多少なりとも綺麗な状態にして売却しよう考える方が多いと思います。それは、綺麗な状態のほうが査定の時の印象が良くなるからです。
では、傷の場合はどうなのでしょう?
契約後につけた傷に限らず、長年乗っていればちょっとした傷ができていたということもあります。そのような傷は修理するべきか否か、これから解説していきます。
結論から言うと、査定前に傷を修理するのはおすすめできません。傷やへこみを修理するとなると、それなりに時間やお金がかかってしまうからです。
小さな傷はほとんど評価に影響しないので、修理をするとメリットよりもデメリットのほうが大きくなります。
中古車の買取業者は、自社または提携の修理工場を持っているので、格安で修理やメンテナンスができる場合がほとんどです。そのため、評価にほぼ影響しない傷に対してお金と時間をかけて自分で修理するよりも、そのまま査定に出したほうがはるかに効率的です。
また、中古車市場はタイミングが大事です。車の価値は時間が経つにつれて下がる傾向にあるので、自分で修理するのに時間をかけるよりも高価買取時期を逃さないためになるべく早いタイミングで買い取ってもらったほうが良いでしょう。
中古車を購入する人にとって、目立たないような小さな傷はそこまで重要ではありません。どちらかというと修復歴のほうが重要視されます。
修復歴がある車というのは、交通事故やその他の災害によって車の強度を保つ部分である骨格部分(フレーム)の交換や修復をした経緯がある車のことを指します。
ちなみに、似たような言葉で「事故車」がありますが、事故にあっても骨格部分を修理していなければ、修復歴がある車には該当しません。
車は骨格部分を一度でも損傷してしまうと、できる限りの修理をしたとしても完全に直ることは難しいとされています。
そのため、修復歴のある中古車は購入後に故障やトラブルが起こる可能性が高いとされ、厳しくチェックされるのです。
修復したことを黙っていると、売却後にトラブルになる可能性も考えられるため、正直に申告することが大切です。
どうしても査定前に車の傷を修理したいと思う場合は、その傷を修理した時にどれくらいの費用がかかるのか見積もりを業者に依頼すると良いでしょう。
それと同時に、傷がある場合と傷を直した場合の査定額の概算をインターネットなどを利用して出しておきます。
そうすれば「修理にかかる費用」と「査定でアップする金額」が比較できるので、どちらを選べば良いか判断できるでしょう。
もしも修理にかかる費用と査定でアップする金額がそんなに変わらないのであれば、修理せずに再査定をしてもらったほうが余計な手間と時間を省けます。
傷のある車をできるだけ高く売るには?
車を売却するなら、どんな車でもなるべく高く買い取ってもらいたいと思う人がほとんどでしょう。
傷がある場合でも、修理をせずに少しの手間をかけるだけで査定時の印象をよくすることができます。以下では、その方法を3つ紹介していきます。
まずは見た目が大事です。傷があったとしても車のボディが綺麗であれば好印象を与えることができます。車内も細かいところまで掃除をしましょう。
窓ガラスは、外側だけではなく内側からも拭いた方が綺麗になります。
ただし、洗車の時に無理矢理汚れを落とそうとすると、傷をつけてしまう恐れがあります。そうなってしまうと元も子もないので注意しましょう。
また、忘れがちですが車内の臭いも査定の対象となります。タバコ、ペット、芳香剤の残り香には気をつけてください。
売却すると決めた段階から徐々に臭いが消えるよう換気を心がけることが大事です。
純正パーツや人気のオプションが搭載されている車は、査定額のアップが期待できます。
例えば、以下の純正パーツやオプションは人気が高いです。
- 電動スライドドア
- 純正ナビ
- 純正アルミホイール
- 純正リモートスターター など
自分では気に入っているオプションパーツがあったとしても、奇抜なものはあまり査定額のアップは期待できません。
個性的な車より万人受けする車のほうが受け入れられやすい傾向にあります。
中古車市場では1年の中で高く売れる時期が存在します。それは決算時期である3月と9月です。
買取業者は決算期までに売り上げを伸ばそうと、相場より高い金額であっても車を買い取ろうとします。在庫を多数確保することで、より多く次の顧客に販売したいという狙いがあります。
そのため、このような時期を見計らって売却するのも査定額をアップさせる手段の一つです。
ただし、中古車市場は新車とは違い、需要と供給のバランスで成り立っています。そのバランスによっては、違う時期に高く売れる場合もあるので、インターネットなどを使ってこまめにチェックすることをおすすめします。