車の売却についての疑問

親や配偶者など他人名義の車は売却できる?手続きの流れを解説!

車の保有者が自分名義ではないけれども、普段運転しているというケースもあるでしょう。所有者が親だったり配偶者だったりする場合は、決して珍しくありません。

このように、他人名義の車を売却するのは果たして可能かどうかについて見ていきます。

また、他人名義の車を売却する場合、自分名義の車を売るときと何が異なるのかについても紹介します。

もし他人名義の車の売却を検討しているのであれば、参考にしてみてください。

他人名義の車を売却できる?

他人名義の車を売却できる?
そもそも、他人名義の車を売却することは可能かどうかについ見ていきます。結論から言うと、他人名義の車両でも売却は可能です。

他人名義の車を売却する方法は主に2つあります。

①車を自分名義に変更してから売却する方法
②自分が車の所有者の代理人となり売却する方法

どちらを選択するかは、それぞれ任意で決めることができます。

しかし、いずれの場合でも必要書類が増えるなど、自分名義の車を売却する場合と比較して手続きが煩雑になってしまいます。

例えば、自分に関する書類以外にも、名義になっている方の書類の用意もしなければなりません。近くにいるならいいのですが、遠方で暮らしている場合は、必要書類を送ってもらうだけでも手間がかかってしまいます。

それぞれどのような書類が必要なのか、詳しく見ていきましょう。

車を自分名義に変更してから売却する場合

車を自分名義に変更してから売却する場合
他人名義の車を自分名義に変更してから、車を売却する方法があります。車の所有者が自分であれば、自分の所有物を売却するわけで何ら問題はありません。

しかし自分の名義でない場合は、名義変更手続きをして所有者を自分にしてから売却する形になります。そのためには必要書類を準備しなければならないので、どのようなものを用意する必要があるか以下にまとめました。

自分が用意する書類

他人名義の車を名義変更する場合、手続きに必要なものを説明します。

①車検証
もし車検証が手元にない、元の名義人が持っている場合は用意してもらいましょう。

また、車検証を紛失してしまった場合は運輸支局に行って再発行手続きをしなければなりません。ナンバープレートを管轄している運輸支局で発行してもらえます。

②実印
名義変更の手続きの際は、実印を押印する必要があります。

③印鑑証明書
名義変更の手続きの際に使用する実印を証明する書類として印鑑証明書も必要になります。

印鑑証明書は、印鑑登録をしていないと発行できません。もし印鑑登録の手続きをしていない場合には、住んでいる市区町村役場で登録をまず行います。

本人が手続きするなど一定の条件を満たせば、印鑑登録と印鑑証明書の発行を同日に行うことも可能です。

元の名義人が用意する書類

名義変更する場合には、車の元の名義人に必要書類をいくつか準備してもらわないといけません。

①元の名義人の印鑑証明書
元の名義人の方も印鑑証明書が必要になるため、役所に行って準備をしてもらうようお願いしてください。

②譲渡証明書
譲渡証明書は、誰がどんな車両を誰に譲るかが明記されていれば、書式は自由です。その他に元の名義人と変更先の名義人の氏名、住所、実印を押印します。

譲渡証明書はネット上にテンプレートがあるので、こちらを元に作成するといいでしょう。

③委任状
元の名義人が名義変更のために運輸支局に行く必要はありませんが、その際は委任状を作成する必要があります。自分だけで名義変更の手続きをする場合は注意してください。

委任状は国土交通省のホームページからダウンロードすることが可能です。

元の名義人が海外にいる場合

名義変更する際には、元の名義人の実印と印鑑証明書が必要です。もし印鑑登録をしていなければ、住んでいる役所で登録手続きを行わないといけません。

ここで問題になるのが、元の名義人が海外に滞在している場合です。

この場合、実印登録そのものができない上に、印鑑証明書の発行手続きも不可能でしょう。しばらく相手が海外から帰国できないようであれば、「サイン証明」で対応できます。

サイン証明とは、パスポートと申請書を持っていくと作成してもらえる、印鑑証明の代用になるものです。

サイン証明の手続きは日本国大使館もしくは総領事館で受け付けています。

元の名義人にお願いして、サイン証明を取得してもらいましょう。

自分が車の所有者の代理人となり売却する場合

自分が車の所有者の代理人となり売却する場合
名義人の代理人として車を売却する場合も、自分と名義人それぞれ必要書類を用意しなければなりません。

具体的にどういった書類を準備しなければならないか、以下にまとめました。

代理人が用意する必要書類

代理人である自分が用意する書類を説明します。

①実印
書類に押印をする際には、登録されている実印を用意しなければなりません。複数印鑑を持っているのであれば、間違えないように注意しましょう。

②印鑑証明書
印鑑証明書は役所で発行してもらえます。

③身分証明書
身分証明書は顔写真付きで、公的機関が発行したものが好ましいです。運転免許証もしくはマイナンバーカードを用意してください。

④委任状
委任状は、車の名義人が代理人に車両の売却を任せたことの証明のための書類です。委任状のテンプレートはネットで検索すればいくつか出ているので、プリントアウトして作成してください。

委任状には元の名義人の実印による押印が必要です。押印してもらうようにお願いしましょう。

元の名義人が用意する必要書類

元の名義人が用意する書類を説明します。

①車検証
②自動車税納税証明書
③自賠責保険証
④リサイクル券
⑤譲渡証明書
⑥実印
⑦印鑑証明書

元の名義人には車の売却時に必要な書類を一式用意してもらわないといけません。

もしどれか紛失して手元になければ、再発行手続きが必要です。車検証は運輸支局、納税証明書は都道府県の自動車税管理事務所や税事務所、自賠責保険は保険会社で手続きします。

リサイクル券は再発行の手続きができないので、代用書類を用意します。ネットで検索して預託済みかどうか確認できるので、こちらの画面をプリントアウトしたものを準備しましょう。

譲渡証明書は、買取業者のほうで用意してくれる場合が多いです。譲渡証明書には元の名義人の実印による押印が必要となります。

他人名義の車は廃車できる?

他人名義の車は廃車できる?
他人名義の車を廃車にして処分したいというケースも考えられます。

他人名義の車を廃車にすることは可能ですが、売却時と同じく、一旦車の名義を自分に変更してから廃車手続きをする流れになるでしょう。

名義変更する場合には書類をいくつか準備しなければなりません。売却時と同じで、譲渡証明書や委任状などを用意します。

中にはすでに車検が切れている車両もあるかもしれません。通常、名義変更をするためには、車検を通してから手続きする流れになります。

ただし、廃車するために名義変更手続きするのであれば、車検に通さなくてもそのままの状態で手続きできるので、覚えておきましょう。

親の名義の車を売却する場合

親の名義の車を売却する場合
他人名義の車を乗るケースとして、親の車を譲り受けるパターンも少なくないでしょう。この場合、いくつかのパターンが想定されます。

「親が亡くなって車両を相続した」「親が認知症になってまともな判断ができない状態」「親が免許を返納している」など様々です。

それぞれ若干手続きの流れについて違いがあるので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

親が亡くなって相続する場合

親が亡くなって故人名義になっている車両の場合、まずは誰が相続するかを決めなければなりません。

兄弟姉妹など複数相続人がいる場合、全員の共有財産扱いとなります。その中から、新しい所有者を決めましょう。

そして親からその新しい所有者に名義変更手続きを行って、売却する流れになります。

この場合、以下の書類が必要になります。

①車検証
②親の戸籍謄本もしくは除籍謄本
③遺産分割協議書
④車庫証明書

その上で、新しい所有者の「実印」と「印鑑証明書」も用意しなければなりません。

さらに、相続した車両の査定額が100万円以下であれば「遺産分割協議成立申立書」が必要になります。

もし心配であれば、運輸支局に問い合わせておくといいでしょう。

親が認知症などで正常な判断ができない場合

高齢化社会の中で今後懸念されるのは、親が認知症になって正常な判断ができなくなる場合です。

もし親が認知症になって、親名義の車を売却したければ「成年後見制度」を利用するといいでしょう。

成年後見制度とは、正常な判断ができなくなった人をサポートするための制度で、認知症になったら利用ができます。

成年後見人になるためには、家庭裁判所にて申請しなければなりません。このとき申立書の他に親の認知症の診断書、切手、親の戸籍謄本が必要です。

さらに、各種手数料も必要となります。申立手数料として800円、登記手数料として2,600円、それぞれ収入印紙を購入します。

申立をする前には裁判所に電話して、面接予約をしなければなりません。指定された日時に裁判所に行き面接を受けて、成年後見人に選任されるか審理されます。

親が免許返納している場合

高齢ドライバーの交通事故が社会問題化することで、高齢者の中には自ら免許返納するケースも増えています。

そのため、免許返納して車両が必要なくなったので、車を売却したいという方もいるでしょう。

親だけが車を運転していて自分は免許を持っていないという場合、免許がないので自分でお店に車を持ち込むことができません。しかし、免許がない人でも車の所有者であれば、出張査定などで車を売却できます。

もし親の代理人として車を売却するのであれば、以下の書類を用意してください。

①委任状
②譲渡証明書
③代理人の身分証明書

その上で、従来の車売却時の必要書類も併せて提出します。

出張査定であれば、査定額に納得するとその場で車を引き取ってもらえます。自分で車を持ち込む必要がないので、出張査定に対応している業者に査定をお願いしましょう。

名義がローン会社になっている場合

親が自動車ローンを組んで車を購入していて、まだ完済していない場合、車検証の名義はローン会社になっていることがほとんどです。

この場合、ローン会社から自分名義に所有権解除手続きをする必要があります。しかし、所有権解除するためには、残債を完済しなければなりません。

もし車を売却して残債分よりも買取金額が高ければ、こちらで完済できます。しかし、車を売却しても債務が残る場合はローンの組み直して売却することができます。

買取業者の中には、残債ローンを提供しているところが多いです。ローン会社とのやり取りについては、買取業者のほうで代行してくれるので、買取業者に任せましょう。

ただし、ローンの組み直しをする場合、契約するにあたって重要事項に関する説明があるので、きちんと話を聞いてから契約してください。

配偶者名義の車を売却する場合

配偶者名義の車を売却する場合
配偶者名義の車を普段運転していて、その車両を売却したい場合は、いくつかのパターンが考えられます。

「別居もしくは離婚することになって売却する」「車を財産分与する」「ローン残債のある車を売却する」などいろいろです。

それぞれ売却するにあたっての注意点をまとめたので、参考にしてみてください。

別居もしくは離婚調停中の場合

別居、もしくは離婚することになったので、配偶者名義の車を売却したいと思っている方もいるでしょう。

この場合、車を購入したディーラーや販売店に相談すれば代行してくれます。自分で何かする必要はありませんが、手数料が発生します。

自分で名義変更手をする場合には、陸運局に行って手続きをしてください。1時間ほどで終了するので、余裕のある方は自分でやるといいでしょう。

離婚調停中で相手に会いたくなければ、弁護士にお願いする方法もあります。手数料はかかりますが、車売却などの一切の手続きを任せられます。

車を財産分与する場合

別居中や離婚調停中に車を売却する場合、財産分与の問題が発生するかもしれません。車の売却代金を財産分与するのであれば、事前に相手と話し合っておくことをおすすめします。

財産分与する場合、基本的には半々に分けることになります。もし車を売却してから財産分与する場合、売却代金を二等分すればいいでしょう。

もし車を引き続き所有したい場合は、そのときの車両の価値の半分を相手方に渡さないといけません。

車を売却しない場合、車の価値をどう算出するかという問題が出てきます。今ではインターネットで相場を把握できるので、あらかじめ調べておきましょう。

その他にはディーラーや買取業者にお願いして、実際に査定してもらうのも一つの手です。

ローン残債のある車は財産分与できる?

中にはローンで購入して、まだ返済が残っている段階で離婚するというパターンも考えられます。この場合、残債と売却代金の関係によって扱いが変わってきます。

もし残債よりも売却代金が上回った場合、売却代金でまずローンを完済しましょう。その上で、残った金額を財産分与として半分に分けるのが一般的です。

しかし、売却代金よりも残債のほうが上回ってしまうパターンも考えられます。もしオーバーローンとなってしまった場合、車の価値はなしと判断するのが一般的です。車は財産分与の対象から外しましょう。

名義人の同意なしで車を売却するとどうなる?

名義人の同意なしで車を売却するとどうなる?
他人名義の車を運転していて、なかなか所有者とコンタクトが取れないので名義人に内緒で売却したいと思う方もいるかもしれません。しかし、基本的には名義人の同意を得てから売却をしましょう。

もし黙って売却すると、後々厄介なトラブルに巻き込まれる可能性もあります。どのようなリスクがあるのか、以下で見ていきましょう。

犯罪に問われる可能性

名義人の了承なしで車を売却した場合、犯罪に問われる可能性があります。

他人名義の車を売却するにあたり、委任状と譲渡証明書を準備しなければなりません。

委任状と譲渡証明書には、名義人の名前と実印による押印が必要です。了承がなければ、自分で名前を書いたり実印を押したりすることになるでしょう。

つまり、勝手に偽物の書類を作成して車を売却したことになります。これは「有印私文書偽造」にあたり、違法行為です。

また他人の持ち物を勝手に売却すれば、窃盗罪や横領罪に問われる可能性もあります。

車の名義人には売却する旨を話して、同意てもらった上で手続きを進めましょう。

婚姻中であれば共有財産

もし結婚中に車を購入したのであれば、共有財産に該当します。配偶者が全額出して自分名義にしている場合でも、夫婦協力して購入したことになります。そのため、もし離婚することになれば、車の価値の半分を相手に請求できます。

ただし、結婚前に購入した車であれば、購入した人の財産になるので注意してください。たとえ結婚してからその車両を自分も使っていた場合であっても同様です。

つまり、離婚した場合でもその車の価値の半分を請求できないということになるので注意しましょう。

まとめ

①配偶者や親名義の車は売却できる
②車の名義を自分に変更してから売却するか、車の名義人の代理人として売却する
③勝手に他人の車を売却すると罪に問われる可能性もある
④離婚する場合、車は財産分与の対象になる
※本記事は公開時点の情報のため最新と異なる場合があります。
カータル編集部
カータル編集部
この記事は中古車の売却、査定などについての知識が豊富な私たちが執筆しています。車を少しでも高く売るコツや必要な書類、手続きに関する疑問や質問にお答えしています。

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